「陰謀論」レッテル貼りに危惧 日本でも過去に流行

 昨年の米大統領選をめぐり、投票不正を訴える陰謀論集団「Qアノン」が注目を集めた。日本でもネットには同調者があふれる。「世界の陰謀論を読み解く」(講談社現代新書)の著者で宗教学者の辻隆太朗さんは、「陰謀論は一種の異議申し立て。その動機には向き合わないといけない」と話す。

拡大する陰謀論 溶けゆくファクト⑦グラフィック・米沢章憲

 ――陰謀論とは、どんなものでしょうか。

 陰謀論は、現実と、世の中はこうあるべきだという認識とのギャップや隙間を、自分で理解するのに都合のいいように埋めるような解釈体系の一つです。

 まず、公式に言われているような説明に納得できず、拒絶する。自分のせいではなくて、世界が間違っていると考えます。そして、その背景にある陰謀ですべてを説明しようとする。そうした理論や考え方について、取るにたらない主張だと否定的なニュアンスを込めて「陰謀論」と呼ばれます。

 ――陰謀論が広がりやすい社会の条件はありますか。

 既存の社会秩序、こうなっているのが当たり前だと信じられる構造が共有されなくなることです。

 ただ、既存のものと違う考え方を一人で信じていても維持できない。「君の言う通り陰謀があるんだな」「今の社会ってやっぱり間違ってるんだ」と、賛同してくれる人がいて初めて続くものです。

 近代化の中で、政治や科学、医学など、社会を支えるそれぞれの分野の専門性が高まっていく。一般の人には、そうした専門知識が社会を動かしているようだということはわかっても、具体的なことはわからず、社会全体を見通すことができなくなっている。主観的に取り残されるような状況になる。そうすると、説明を求めて陰謀論を求める人が増えると言えます。

 ――日本でも過去に陰謀論は流行したのでしょうか。

 第2次世界大戦中、そして高度…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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