「陸の孤島だった」急坂多い熱海、支援の車を無料で運行

会員記事

浪間新太、山口啓太

 静岡県熱海市でおきた大規模な土石流で、被害の大きかった伊豆山地区の山間部にある県営住宅「七尾団地」で12日、市社会福祉協議会や地元の自動車教習所の支援で「バス」の無料運行が始まった。団地は急峻(きゅうしゅん)な傾斜地に位置し、土石流で路線バスが運休に。交通手段が絶たれた状態だった団地の高齢者らは胸をなで下ろしていた。

 12日午前9時すぎ、団地集会所前に始発の送迎バスが到着。14人乗りのワンボックスカーに男女9人が次々と乗り込み、「久しぶりに外に出た」とうれしそうに話す人もいた。

 「バス」は午前9時から午後4時までに計7便。団地から3キロほど離れたJR湯河原駅(神奈川県湯河原町)まで往復する。湯河原駅から熱海駅へ電車で6分で行ける。

 JR湯河原駅近くのスーパーに約10日ぶりに買い物に出かけるという和田洋子さん(87)は始発の40分前から待っていた。「買う品物が多いから」といつも使う倍の容量のリュックを用意。ポケットには「アボカド」「夏パジャマ」などと書いたメモを持参した。

 10日には新型コロナウイルスの1回目のワクチン接種を受ける予定だったが、路線バスの運行休止でキャンセルに。無料運行に「生活面も健康面も一安心。ありがたい」と話した。

 「路線バスが止まって、さながら『陸の孤島』だった」。町内会長の大友勇さん(77)は3日からの生活をそう振り返った。

 熱海市は平地が少なく、急な…

この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。

残り:367文字/全文:970文字

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment