東日本大震災の被災自治体によるふるさと納税で、語り部の話を聞いたり、震災遺構を見学したりといった「無形の返礼品」が広がり始めている。全国的に返礼品が「モノからコト」へと広がる流れに乗りつつ、震災の風化防止につなげる狙いがある。
岩手と宮城、福島各県の沿岸部を中心とした被災42市町村のうち、震災に関わる無形の返礼品があるのは少なくとも6市町で七つ。
岩手県宮古市は昨年11月、震災遺構「たろう観光ホテル」をガイドが案内するという返礼品を始めた。返礼品は1万円の寄付で受けられる。担当者は「体験型は全国的に増えている。宮古でも何かできないかと考えた。津波の惨劇を物語る遺構の見学をメニューに加えることで、風化を防ぐ一助にしたい」と話す。
宮城県多賀城市は今年1月、牛タンやフカヒレの姿煮など約70種類ある返礼品の中に「都市型津波を学ぶ 3・11語り部ツアー」を加えた。市内を襲った津波の高さと同じ4・6メートルのモニュメントを、ガイドの説明を聞きながら見学する返礼品だ。市民経済部の佐藤利夫部長は「1千年に一度と言われる震災は、後世に伝えなければならない。観光・交流人口の拡大にもつなげたい」と話す。
ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」や「さとふる」の運営会社によると、寺の住職と一緒に修行場巡り(京都府笠置町、8千円)や、芸人らを派遣する笑いの提供(福岡県太宰府市、1万5千円)など、体験型の返礼品は全国的に注目されつつある。19年は前年から約1・5倍に増えているという。
ただ、震災に関わる体験型の返…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル