「面白い魚がいる」。写真家の堀口和重さん(34)から連絡をもらい、静岡県沼津市のダイビングスポット大瀬崎を訪ねた。海底には、赤いリボンが舞っているようなイッテンアカタチがいた。
地元ガイドの熊谷翔太さん(24)の案内で水深25メートルの海底まで潜ると、体長60~80センチの細長く平べったい赤い体をくねらせて泳ぐ魚が何匹もいた。近づいていくとすっと海底の穴に隠れた。背びれに大きな黒い斑文が一つあることからイッテンアカタチだと分かる。「太刀」の名がつき姿も似ているがタチウオとは別種だ。海底の泥に穴を掘りすみかにし集団でコロニーを作る。
熊谷さんによると、昨年12月ごろから姿を見せ始め、次第に数が増え、10匹を超えるコロニーも見られるという。
大瀬崎では昨年7月の大雨で周囲の山から大量の土砂が流れ込んだ。海底の砂を泥が厚く覆った。砂地を好むハゼやエビ、カニ、タコなどが姿を消し、代わってイッテンアカタチなど泥地を好む魚が増えているという。
熊谷さんは「環境の変化にしたたかに適応する海の生き物の生命力を感じる」と感心していた。(岡田和彦)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル