【不支給要件】 (1)風俗営業等関係者(2)暴力団員(3)破壊活動防止法の暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れがある団体等に属している者
これは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休校のため、仕事を休まざるを得なくなった保護者に対する休業補償支給の「除外規定」だ。(1)の項は最終的に撤回された。風俗業で働く人々が当初は排除されていたことを示している。
性風俗で働く当事者団体が4月2日、厚生労働省に抗議文を提出したことで、問題が明るみに出た。ツイッター上で瞬く間に拡散され、「職業差別」との批判が相次いだ。同6日には国会で議論され、菅義偉官房長官が除外規定を見直す意向を示した。翌7日には、加藤勝信厚労相が「風俗業も補償対象にする」と明言した。
特定の業種を公的支援の対象から外すのは一見して分かる差別だ。なぜそんなことが政府によってなされたのか。なぜもっと早く政府を追及することはできなかったのか。当事者団体が声を上げるまで、休業補償の申請が開始されてから約2週間、記者を含めて誰も問題提起しなかった。除外規定は抗議文提出から異例のスピードで撤回されたが、本当に問題は解決されたのだろうか。もやもやした思いが消えず、取材を続けた。(共同通信・三浦ともみ)
▽いつも除外
まず、休業補償を所管する厚労省の担当者に、除外した理由を尋ねると「一般的な雇用関連の助成金から、風俗業を営む事業者は除外されている」との回答だった。確かに、同省のホームページ上の「各雇用関係助成金に共通の要件等」という資料では、受給できない事業主の欄に「性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業」との記述がある。新型コロナでも援用しただけというのが厚労省の言い分で、問題があるとは思っていないような口ぶりだった。
担当者は「(風俗業は)違法状態の店舗や、暴力団に資金が流れている店舗の存在が過去に問題となり、受給対象から除外されてきた」とも説明した。加藤厚労相も抗議文の提出直後「公的な支援措置の対象とすることが適切なのかどうかということで、そうした基準が設けられてきた」と述べていた。
次に複数の弁護士にも話を聞いた。するとある弁護士に「職業差別と言い切るのはどうか。性産業に税金を投入することの是非という長年の壮大な議論に発展してしまう」と言われた。 職業差別とシンプルに捉えると、壮大な議論に発展…。問題の根深さの一端に触れたようで戸惑った。根源には一体、何があるのだろう。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment