清水謙司
「飛鳥美人」などで知られる高松塚古墳(奈良県明日香村)の極彩色壁画(国宝)の保存や公開に向け、文化庁の「古墳壁画の保存活用に関する検討会」が17日、東京都内で会合を開き、新たな施設を2029年度までに村内に整備する方針を示した。
壁画は石室内部に描かれ、21日に発見50年を迎える。04年にカビなどによる劣化が判明。石室ごと解体して墳丘から取り出し、修理を別の場所で進めて20年3月に完了した。
この日示された基本構想案によると、新施設の予定地は村内にある国営飛鳥歴史公園の一角。施設内に設けられる保存管理室は公開のための観覧ゾーンも備えるものとしている。
これまで壁画は仮設の修理施設の作業室に安置され、年数回限定公開されてきた。今後は展示環境が整った新施設で公開する考え。壁画保護のため、年間の公開日数は限定する予定だ。
関連資料を集めて博物館などの機能も持たせる。座長を務める和田晴吾・兵庫県立考古博物館長は「飛鳥の文化を発信する拠点の一つになれば」と話した。
文化庁は将来的に壁画を古墳内に戻す方針を変えておらず、新施設はその調査研究の拠点にもしたいという。新年度以降は新施設の基本構想を具体化する作業に入る。(清水謙司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル