山本知佳 東谷晃平
12日から、愛知県にも緊急事態宣言が適用された。外出自粛や営業時間短縮に翻弄(ほんろう)され続けてきた飲食業界に追い打ちをかけるように、3回目となる今回の宣言下では酒の提供も認められない。それでも、店主たちは前を向く。
名古屋市中区の老舗洋食店「広小路キッチンマツヤ」。ランチ営業を終えた12日午後2時すぎ、店長の仲江亜咲奈(あさな)さん(50)が、酒の提供自粛を伝える紙を店先に貼り出していた。店中のドリンクメニューはすべて、前日のうちに、ソフトドリンクだけのものに差し替えた。
1年前と比べ、客は半減した。今回の宣言では酒の自粛も求められ、2フロアのうち居酒屋としている1階は、夜の営業を休む。「1人になったら、落ち込んじゃいそうです」。昨年末には資金が底をつき、「自転車操業」が続く。
名古屋駅と繁華街・栄に挟まれた伏見地区に創業して59年。過去にも経営危機は何度かあった。十数年前のBSE(牛海綿状脳症)問題は、主力商品を牛肉のステーキから豚肉メインに変えた。2008年のリーマン・ショックでは、飲み放題を始めて新たな客を取り込んだ。
しかし、今回は何をすれば乗り越えられるのか、さっぱりわからなかった。
昨年末、窓に「もう限界…で…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル