厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織(アドバイザリーボード)は22日、最近の国内の感染状況について「横ばいから微増傾向」と評価した。首都圏から地方都市に感染が広がったとされるケースもみられ、首都圏で感染者が減らないことが全国の感染者が減らない一因と分析した。
専門家組織は、人々の活動が活発化していることによる感染の増加要因と、感染リスクの高い行動を控える減少要因が拮抗(きっこう)していると分析。1人の感染者が何人に感染させるかを表す実効再生産数は東京、大阪、北海道、沖縄などで1をはさんで前後し、全国的にも直近の10月上旬時点で1に近い状態が続いている。
北日本や首都圏、大阪、沖縄などでは感染が増加や高止まりの状態で、地方都市でもクラスター(感染者集団)が発生しており、「拮抗しているバランスがいつ崩れてもおかしくない」と注意を呼びかけた。
座長を務める脇田隆字・国立感染症研究所長は会議後、最近起きた青森、福島両県などの繁華街でのクラスターについて「発端は首都圏からの流入が考えられる」とし、「首都圏での感染状況を改善させることが第一に重要だ」と指摘した。
首都圏で感染者が減らない理由としては、飲食の場で感染が続いていることなどをあげ、「大人数での飲食や狭い閉じられた空間で大声で話せばリスクは高くなる。感染リスクを理解し、実行してもらうことが重要」と述べた。また、最新の知見から、フェースシールドやマウスシールドはマスクに比べて飛沫(ひまつ)を防ぐ効果が弱いことに留意が必要とした。
8月下旬以降、減少傾向だった入院患者は直近では増加に転じ、重症者数も下げ止まりの状況となっている。脇田座長は「指数関数的に新規感染者数が増えるフェーズではなく、医療逼迫(ひっぱく)にただちにつながる入院患者の増加状況ではない」と述べた。(土肥修一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル