映画の興行収入や漫画の発行部数だけでなく、観光など様々な方面で社会現象となっているアニメ「鬼滅の刃」。アニメや漫画の舞台を旅する「聖地巡礼」においても例外ではなく、大きな動きとなっています。令和を代表する存在になった作品ですが、そのヒットの過程は、昭和の大ヒットアニメと重なるものがあります。それは、当初の回数が削られるほど低視聴率だった「機動戦士ガンダム」です。(ジャーナリスト・河嶌太郎) 【画像】鬼滅の刃、「実在の神社」を想像力で聖地化 八幡竈門神社
社会現象となった「鬼滅の刃」
今や社会現象となっている大ヒットアニメ「鬼滅の刃」。原作漫画の累計発行部数は12月4日時点で1億2000万部を超え、10月16日に公開された「劇場版『鬼滅の刃』 無限列車編」は、公開から1カ月半で興行収入が275億円を突破しました。異例のペースで歴代1位の「千と千尋の神隠し」に迫ろうとしています。 「鬼滅の刃」が最初にテレビ放送されたのは、2019年4~9月と、実は1年以上前になります。時間帯も深夜に放送されたのもあり、視聴する層も限られていました。 ところが、熱心なファンがSNSなどで拡散をし、メジャーな存在になっていきます。 そのきっかけとなったのが、2019年3月にアニメ版の1話から5話で構成した特別版の映画上映です。 全国11館で2週間だけの上映にもかかわらず、コアなファンの心をとらえ評判が急上昇。注目を集める中で、アニメの本放送がスタートしました。 【関連記事】『鬼滅の刃』ブームの裏に、アニメ化と計算尽くしのファン獲得策:日経クロストレンド(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00364/00003/) 「鬼滅の刃」のように、放送中はそこまでのヒットとならなかったものの、最初に見たファンが伝道師(エヴァンジェリスト)となって社会現象につながっていった例があります。 1979年放送の「機動戦士ガンダム」です。
低視聴率で打ち切りの過去
「機動戦士ガンダム」は、リアルタイムでは低視聴率のため、全52話の予定が43話に圧縮される形で打ち切りとなった過去があります。 第1作「機動戦士ガンダム」は1979年4月~80年1月に全国で放送されましたが、視聴率は1ケタ台(関東地区、ビデオリサーチの数値を集計)とふるいませんでした。 しかし、「ガンプラ」と呼ばれるプラモデルの発売や、テレビ版を再編集した映画の上映などで人気に火が付きます。テレビでも1981年の再放送では視聴率が12%を超えました。 また、「ガンダム」は、それまでの勧善懲悪のロボットものとは一線を画し、敵役のシャア・アズナブルは影のある設定で、主人公のアムロ・レイと戦わざるを得ない経緯が丁寧に描かれます。 これは、倒す存在である鬼の過去が見どころの一つになっている「鬼滅の刃」と重なります。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース