総合文具メーカーの「プラス」で働いていた、もときれおがさん(32)。
入社4年目の2019年、手がけた「エアイン 富士山消しゴム」がヒットした。
四角い消しゴムを使っていくうちに角が取れると、内側の白い部分が現れて雪化粧した富士山のようになるという商品だ。
間違った文字を修正する道具である消しゴムは、本来あまり使いたくないもの。
「どんどん使いたくなる消しゴムがあったら面白いのでは」と発案した。
大学院2年生の時に思いついたこのアイデア。
在学中に製品化すべくクラウドファンディングを検討したが、数量や価格が合わず実施には至らなかった。
複数の雑貨メーカーにも売り込んだが、いずれも不採用。
卒業後に入社したプラスで、ようやく実現させることができた。
念願の商品を世に出した2年後、もときさんは会社を辞めた。
退職したのは30歳になる約1カ月前のことだった。
人生の転機
高校時代はバンドを組み、ボーカルとギターを担当。
ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン カンフー ジェネレーション)」の曲などをコピーしていた。
大学に入ったものの、「ミュージシャンになりたいから」と学ぶ気はまったくなかった。
工学部デザイン科学科に入ったのは、姉が通っていてなんとなく面白そうだったから。
3年生になって周りが就職活動で忙しそうにしている中、大学院への進学を決めた。
「まだ、やりたいことが明確じゃないから」というのが理由だった。
ちょうどこのころ、人生の転機となる出来事が起こる。
大学の卒業制作として手がけ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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