石垣明真
北海道警に逮捕された後、勾留中に弁護士との接見内容を記した「被疑者ノート」を警察官に取り上げられたり、自白を強要されたりしたとして、その後不起訴処分になった女性と担当弁護士が、黙秘権などを侵害されたとして道に慰謝料を求めた国家賠償請求訴訟をめぐり、原告側弁護士が28日、取り調べ時の動画を報道陣に公開した。
道警は2021年6月、女性を息子に対する監禁容疑で逮捕した。病院に運ばれた息子は、女性が逮捕された翌日に死亡。その後、女性は嫌疑不十分のため不起訴処分とされている。
公開された動画は約12分にのぼる。取り調べの様子は斜め上から撮影されており、椅子に座る女性と、机を挟んで取り調べをする警察官が映っている。原告側弁護士によると、取り調べは計約28時間半に及んでいたという。
動画内では、黙秘を続ける女性に対して、警察官が「黙ってもなんもいいことない」「今の状況はただマイナスにしかならないんじゃないか」と語っていた。また、「(息子は)いらない子だったの?」「じゃあ産まなきゃよかったんじゃないの?」などと述べていたほか、供述拒否権について、「本当のことを言わなくてもいい権利でもない」ともしていた。
原告側の吉田康紀弁護士は「事件を起こした被疑者であっても、1人の人間として尊重されなければならない。憲法で保障されている黙秘権がないがしろにされていることを明らかにし、この現状の改善につなげたい」とコメントした。(石垣明真)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル