大きな瞳で見つめる少女の作品などで、世界的に人気の美術家・奈良美智(よしとも)さんが、難民支援のためのグリーティングカードをデザインした。カードには難民キャンプで暮らす少女がこちらを見つめている姿が描かれ、「難民のことを思うとき、数ではなく、誰かの家族として、1人の“ひと”として想像してみる」という奈良さんのシリア難民への思いが込められている。
奈良さんは3月、日本のNGO43団体で構成するNPO法人「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」の呼びかけで約1週間、ヨルダンのシリア難民キャンプ2カ所と首都アンマンに逃れたシリア難民のもとを訪れた。シリア人家族と食事を共にし、内戦で夫と離ればなれになった女性の話などに耳を傾けた。
キャンプでは子どもたちに、自身が育った環境や作品などをスライドで紹介した。青森県弘前市出身の奈良さんが見せる雪が積もる田舎の風景や、小さい頃使っていた布のおむつの写真を、子どもたちは楽しそうに眺めていたという。
子どもたちが描いた絵についても互いの思いを語り合った。奈良さんは滞在を通じ「今を精いっぱい生きる姿に『生命的な強さ』を感じた」という。
カードは冬の寒い時期を迎えるシリア難民への支援を広げる「THINK ABOUT A REFUGEE(難民のことを考えよう)」キャンペーン(国連UNHCR協会との共同展開)の一環。JPFのマンスリーサポーター(毎月1口千円以上の寄付)に入会し、希望すると2枚1組で贈られる。キャンペーンは2月29日まで。カードはなくなり次第終了となる。
JPFは「2枚目は大切な誰かに贈って、奈良さんのメッセージの輪を広げて欲しい」と呼びかけている。問い合わせはJPF(03・6261・4035)。https://www.japanplatform.org/(葛谷晋吾)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル