「はい、いつもの寮のカレー」
「体はどうや」
「電気代とか払えているか」
保護司の福田昭さん(54)が福岡市の男性方を訪れた。福田さんは同市早良区の更生保護施設「福岡弥生寮」の訪問専門スタッフ。今年7月のことだ。
男性は52歳。実刑判決を受け、刑務所に2回入った。2回目の出所後に弥生寮で半年暮らし、4月からアパートで一人暮らしを始めた。
刑務所を出て更生保護施設に入り、そこを退所した人の家を保護司や社会福祉士が訪れ、再犯を防ぐ手探りの試みが始まった。「あなたは1人じゃない」。訪問を通して、そんな思いを伝えているという。記事の後半では、訪問が始まった背景と効果を紹介します。
最近まで廃棄物処理の仕事をしていたが、ひざを痛めて退職した。生活保護を受けながらリハビリを続ける。完治したら再び働くつもりだ。
プラスチックの容器に入ったカレーを受け取り、「先生、いつもすみません」と頭を下げた。
月2回、福田さんの訪問で励まされている。一緒に食事に行くこともあるという。
男性は「リハビリの通院以外は家にこもっているが、1人だと余計なことを考えてしまう。欲求を満たすために再犯したら元も子もない」。そばであぐらをかいた福田さんがうなずくと、男性は「先生は厳しい兄貴という感じ。迷惑はかけられないから」と続けた。
福田さんはこの日、福岡市内の46歳の男性宅も回った。家を訪れるのは初めてだった。
男性は詐欺や傷害の罪でこれ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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