武田肇、堀之内健史
大阪市北区の雑居ビルで17日発生し、25人が死亡した放火殺人事件で、現場となったクリニック内での一酸化炭素(CO)の広がり方を専門家がシミュレーションした結果、「1分後には室内に充満した」とする結果が出た。専門家は避難は困難だったとみている。
大阪府警によると、事件で亡くなった25人の死因は全員がCO中毒だった。
火災に詳しい山田常圭(ときよし)・元東京大特任教授(火災安全工学)は、事件の状況について、3次元シミュレーターを使って想定実験をした。
現場となったクリニックと同じ面積、構造の部屋で、窓や出入り口は受付や待合室側しかない室内にガソリンがまかれたと想定し、CO濃度の上昇や煙の流れ、温度変化を調べた。
その結果、エレベーター付近からの出火によって発生したCOは、熱せられた煙とともに天井近くにたまったが、20秒後には待合室全体に充満。1分後には奥の診療室まで到達した。
この時のCO濃度は、一定時間吸うと激しい頭痛や嘔吐(おうと)を起こす500ppm程度とみられる。山田さんは「これまで判明した状況を前提にすると、火災の拡大で数分後には致死量の数千ppmまで上昇したと推測される。黒煙で室内は停電したように光が届かず、床に倒れた被害者は煙を吸って死に至ったとみられる」と話した。
CO濃度は床に近いほど低く…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル