高橋昌宏
迫真の演技に、こだわりのカメラワーク……。仙台市消防局の音楽隊が制作した動画がSNSなどで話題を呼んでいる。「倍返しだ!」のセリフで知られるあの人気作品を下敷きに、第一線で働く消防士らが役者となって119番通報の要点を伝えている。
動画のタイトルは「連続消防ドラマ 万沢直樹」。消防局を舞台に、119番通報の要点をまとめたリーフレットの公表を邪魔された万沢は、なぜか「頭取」「幹事長」らと対決する。「やられたらやりかえす」「119番返しだ」で大団円を迎え、市消防音楽隊の演奏場面に切り替わる。
自治体による動画を使った広報は珍しくないが、素人ながら熱の入った約10分間の演技に、SNSでは「芸達者」など称賛の声が上がっている。
音楽隊は数年前から、住宅用火災警報器などの大切さを伝えるドラマ仕立ての動画を制作。定期演奏会の会場のスクリーンで上映しながら、関連の曲を演奏するのが人気となっていた。
今年3月にも演奏会が市内のホールで予定されていたが、新型コロナの影響で無観客に。演奏会の模様とともに動画をユーチューブで公開した。
なぜ動画に力を入れるのか。「防火・防災を市民により印象づけるには演奏以外にどんな手段があるか考えた」と話すのは音楽隊の佐々木健副隊長。その結果、人気作品をオマージュした啓発動画が浮かんだ。
脚本作りや撮影、そして編集まで動画の制作はすべて消防局員が担当。鵜沼清孝楽長は「普段、消防や指令業務などに当たっている。ドラマを何度も見て、似せていきました」。
もみあげに白い付け毛をして頭取に扮した佐々木副隊長は「ドラマのファンで何回も見ていたので、やるなら頭取かなと考えていた。表情を工夫するなど、みんな気合が入っていた」と振り返る。総勢30人ほどの音楽隊の演奏機会は、コロナ前は年30件前後あったが、昨年度は7件、今年4月以降はゼロ。こうした中で、動画の公開も貴重な広報の一つだ。「『半沢直樹』までやると次が難しいが、好評頂いているので今後も続けていきたい」
動画はユーチューブの「せんだいTube」チャンネル内(https://www.youtube.com/watch?v=bV3MYJlrLxc
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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