「13年間の還付金」と書かれたメモ 男性が詐欺を確信した瞬間

森下友貴

 9月28日午後6時半ごろ、埼玉県朝霞市の広垣義仁さん(58)は仕事帰りに市内の銀行を訪れた。ATMで現金を引き出そうとしたところ、スマートフォンを片手に不慣れな様子でATMを操作する高齢男性の姿が目にとまった。誰かと電話で話をしている様子で、「医療還付金」「入金」といった言葉が聞こえてきた。

 「還付金と言っているのに、入金の話がでているなんておかしい」。そう思った広垣さんが「おじいさん、どこに電話しているの」と話しかけると、「スマホにかかってきた電話にかけているんです」。男性が手に持っていたメモには「13年間の還付金」と書かれていた。

 詐欺を確信した広垣さんは「おじいさんだめだよ。怪しいよ」。近くにいた女性も加わり、数分間、説得を続けて男性からキャッシュカードを預かり、110番通報した。男性も次第に納得し、広垣さんに感謝の言葉を述べた。

 広垣さんには10月20日、特殊詐欺被害を未然に防いだとして朝霞署から感謝状が贈られた。広垣さんは「説得に協力してくれた女性にも感謝です。詐欺がこんなにも身近なことになっていると感じたので、地域で見守ることが大切だと思いました」と話した。(森下友貴)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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