北海道新幹線(新青森―新函館北斗)の開業5年を2日後に控えた24日夜。新函館北斗駅を午後9時57分に出発する新青森駅行き「はやて100号」に、佐川急便の宅配便の荷物が積み込まれた。荷物が入った専用ボックス4個が空席に固定され、新青森駅に向かった。
この日は全席指定の10両編成に乗客は10人ほど。もともと乗客が少ない平日の最終便だが、コロナ禍で一段と落ち込んでいる。こうした苦境を打開しようとJR北海道が始めるのが、新幹線で貨物を運ぶ全国初の「貨客混載」事業だ。
駅構内で開かれた記念式典で、JR北の島田修社長は「コロナの状況下だが、一日も早く事業として定着し、さらに拡大してほしい」と述べた。JR東日本と連携し、イカやウニなどの生鮮品や駅弁を東京へ運ぶ検討もしている。
拡大する北海道新幹線の車内で、貨物が入った専用ボックスが空席に固定された=2021年3月24日、JR新函館北斗駅
地元の期待を背負って走り出した北海道新幹線だが、ただでさえ厳しいJR北の経営を圧迫している。
開業ブームに沸いた2016年度こそ乗車率は32%だったが、17年度以降は20%台半ばに低迷。コロナ禍の20年度は乗車率が8%(2月末現在)と急落している。19年度の赤字額は93億円で、線区別では最も悪く、全体の赤字額の2割弱を占める。
JR北は、その新幹線を経営改善の切り札と位置づける。30年度末の札幌延伸が実現すれば、利用者が大幅に増えるとみているからだ。国の財政支援なしで経営を成り立たせる経営自立の時期は、札幌延伸後の31年度に設定している。
北海道と本州の移動手段は今も、年1千万人が利用する新千歳―羽田の航空路線の「1強」状態だ、JR北はこれに新幹線で風穴を空けようとしている。
そのために不可欠なのが高速化…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル