6年計画で「下剋上」を果たす
NHK、民放、新聞、政党、有権者……。
あらゆるレベルでの「黙殺」が、「NHKから国民を守る党(以下、N国)」に1議席を与えたと言ってもいいだろう。
参議院議員選挙前、いわゆる「政党要件」を満たさないN国は、メディアから「諸派」扱いをされていた。つまり、メディアはN国に関する情報を精査したり、有権者に伝えたりする役割を放棄していたと言っていい。
従来の選挙であれば、こうした枠組みの中で「諸派」が勝つことは難しかった。そもそもメディアが扱わなければ、有権者に「立候補の事実」さえも浸透しなかったからだ。
普通に考えればわかる。わざわざ投票所まで足を運ぶ人が、全く知らない候補者に貴重な一票は投じるとは考えにくい。
しかし、N国は2013年6月の結党以来、テレビや新聞が取り上げない「諸派」が選挙に勝つ方法をずっと考え続けてきた。主戦場としたのは、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」。立花は一人でN国を結党した当初から、筆者にこう語っていた。
「6年後の2019年参議院選挙で国政に1議席を持つことを目指しています。だから6年後までの選挙スケジュールをすべて調べました。供託金の安い地方選挙に候補者を立てて議席を増やし、体力をつけてから国政に挑戦します。そもそも、一度の選挙で複数人が当選する地方選挙は、供託金の没収ラインも低いから、ほとんど返ってくるんです。ローリスク・ハイリターン。畠山さんも立候補したら当選しますよ。うちから出ませんか?」
N国が今回の参院選で1議席を取ったのは、偶然ではない。国政で1議席を獲得し、政党要件を獲得して政党交付金を得るための戦略を「6年計画」で進めてきたからだ。
今回、N国へ投票した有権者の行動を「面白半分」と切り捨てる人たちがいる。選挙後に「変わった団体」「面白い団体」として取り上げたテレビ局もある。
もちろん、N国にそうした一面があることは否定できない。しかし、それがすべてだと思ってはいけない。
すべての有権者に思い出してほしいのは、「よく考えて投じた一票」も「面白半分で投じた一票」も、「同じ一票」の価値を持つという大原則だ。N国はこの大原則のもと、結党からの6年間、選挙を徹底的に研究して参院選に臨んだ。そして狙い通り、「下剋上」を成し遂げた。N国は、誰もが甘く見て「黙殺していい存在」ではなかったのだ。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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