真言宗寺院の明王院(みょうおういん、広島県福山市草戸町)は19日、国宝の五重塔にまつられている本尊「木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)」(県重文)の頭の中から、折り畳まれた和紙のような紙の束が見つかったと発表した。何かが墨書されており、今後、慎重に取り出して内容を調べるという。
五重塔は南北朝時代の1348年に建立されており、坐像も同時期に造られたとみられる。一部で劣化が進んでいたため、県と福山市などの補助を受け、6月から、高さ52・7センチの寄せ木造りの坐像を解体修理する作業を進めていた。
市文化振興課によると、坐像の後頭部に接合面があり、取り外すと、直径10センチほどの空間に、変色した紙の束が入っていた。制作時に納めた「納入品」とみられる。専門家の助言を受けながら取り出して、今年度中に何が書かれているのか分析したいという。
明王院近くでは、中世の集落跡「草戸千軒町遺跡」が見つかっており、周辺は港町として栄えた。五重塔は当時、民衆の寄進で建てられたと伝わっている。明王院は今回の紙の束に、建立の経緯や仏師の名などが記されているかもしれないと期待しており、片山悦子事務長は「675年前の状況が分かれば、タイムカプセルのように時空を超えてそれを伝えてくれる貴重な資料だ」と話している。(西本秀)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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