TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月5日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、健康社会学者で気象予報士の河合薫さんが、政府が進めている「高年齢者雇用安定法」の改正案について見解を述べました。
◆70歳定年延長で働き方はどう変わる?
政府は2月4日、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする「高年齢者雇用安定法」の改正案を国会に提出。目的は意欲ある人が長く働ける環境を整えることにあり、60代の働き手を増やし、少子高齢化で増え続ける社会保障費の支え手を広げることが狙いですが、企業にとっては重荷になりかねない事態となっています。
現行法では、定年に対する企業の選択肢は「定年延長」、「定年廃止」、「契約社員などでの再雇用」がありますが、新法案では「他企業への再就職支援」、「フリーランス選択者への業務委託」など4項目が追加。しかし、これは詳しくみてみると「企業が雇用責任を果たさなくても大丈夫という法律だと受け止めることもできる」と河合さん。さらには、「政府が法改正を進めることによって、定年が、企業側が賃金を体よく低下させることができる節目になりつつある」と指摘。
そして、「早期退職」についても言及。「定年後再雇用でも雇いたくないという企業が40歳以上を(対象に)早期退職という名のリストラをしている」と言います。
今年に入り、すでにラオックスや味の素などの企業が早期退職者を募っていますが、なかでも河合さんが衝撃を受けたのは「ファミリーマート」で、800人の退職者募集に1,111人が応募したそう。そして、ここでポイントとなるのが「86人は業務継続に影響がある」とし、退職を認めず引き留めたこと。河合さんは「これは裏を返せば、希望退職という名のリストラ策」と意見します。
◆オジさんの悲哀……賃下げが中高年に集中
こういった話をすると、「50歳以上の働かないオジさんが多いから」と批判されることもあるそうですが、河合さんは700人以上にインタビューした結果から「オジさんたちも頑張っていて、しかも切ない」と感想を口にします。というのも、20代は給料が増えているものの30歳以上は減少し、特に50代の下がり方が激しく、55歳の給与の中央値は2000年に比べ2018年は14%減。しかも、同じ55歳でも給料の高い人と低い人では格差が顕著に。
そんな現状に、ヘッドライン社長で早稲田大学研究員客員教授の一木広治さんは「グローバル企業しか勝ち残れなくなり、仕方ない風潮」と言うと、「ビジネスの世界で言えば、どんなに長寿社会になっても50歳以上はいらない、おそらくグローバル企業のそういったスタンダードが変わってないと思う」と河合さん。
これにMCの堀潤が「そんなことない。こういうときこそ分断されず、力を合わせようよ」と嘆くと、河合さんは「その通り」と同意しつつ、「50歳以上も今だからこそ価値観を変えるべき」と提言。会社内での肩書きや昇進、給料を稼ぐことが価値観だったところを「半径3メートルのなかでの幸せを考えてほしい」と訴えます。
具体的には、「半径3メートルの部下などとどんな関わりを持つか」をはじめ、「誰かから“ありがとう”と言われること、誰かを幸せにできたことでちょっと幸せを感じるとか、目の前のことに没頭して“学ぶ”ことに価値観を見出してほしい」と話していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース