「推し」ってどういう意味? 「同ペン」ってどんな時に使うの? 名古屋短期大(愛知県豊明市)の学生たちが、特定の趣味にのめり込む「オタク」が使う言葉を集めた「オタク用語辞典」を作った。編纂(へんさん)や議論を通じて学生たちが発見したこととは――。
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オタク用語辞典の名は「大限界」。日本初の近代国語辞典「言海」を増補改訂した「大言海」と、「痛々しさが許容度の限界を超えたオタク」を指す「限界オタク」を掛け合わせたタイトルで、129ページにわたって821語を収録している。
現代教養学科の小出祥子准教授(日本語学)のゼミに所属する2年生7人が作った。ゲームやアイドルなどそれぞれに得意分野があり、「オタク」を自称する学生もいる。
日常的に使っていたり、ネットでよく見かけたりするオタク用語を収集し、国語辞典で本来の意味を調べた上で、オタクが使う時の定義を考えた。なじみがない人にも分かりやすいよう、用例もつけた。
まとめてみると、一般的な意味と異なる使われ方をする言葉が多々あった。例えば「円盤」。通常、円形で平たいものを指す場合が多いが、オタク的な文脈ではCDやDVDといった記録媒体を指す。「その近辺」という意味で使われる「界隈(かいわい)」も、オタクにとっては「ジャンル」という意味を持つという。
ゼミ生の野々村綾乃さん(20)は「周りと違う言葉を使うことで仲間内で自分たちの世界を作っているのでは」と分析する。
同じ意味でも、ジャンルによって言葉が異なることも浮かび上がった。例えば「担当」。「推し」と同じく応援する対象を指す言葉だが、主に男性アイドルに対して使われ、ゲームやアニメなど2次元のキャラクターにはあまり使われないことが、議論を経て分かったという。また、「推し」はあがめる対象だが、「担当」は育てる対象という微妙なニュアンスの違いもあるようだ。
谷倫花さん(19)は「似たような意味を持つ言葉をどう使い分けているのか整理するのが難しかった」と振り返る。
ゲーム好きの豊島咲さん(21)は「ジャンルが違うと使っている言葉も違って、いかに自分が狭い世界にいたかに気づきました。視野が広がりましたね」と笑う。
K-POPの人気も反映
同時に、言葉には、はやり廃…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル