【あす祈りの日】東日本大震災12年 釜石沿岸で行方不明者の捜索

 死者・行方不明者2万2212人の犠牲を出した東日本大震災から11日で12年を迎えます。あすは祈りの日であるとともに、東京電力福島第一原発の事故の影響で、福島ではふるさとへの帰還がなかなか進まない地域があることに改めて目を向ける日です。東北の被災地を中心に、前日の動きをタイムラインでお伝えします。

■■■3月10日■■■

14:10

原発事故、国の責任認めず 仙台高裁判決

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、避難指示の対象外だった福島県いわき市から自主避難をするなどした住民が、国と東電に約13億6千万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、仙台高裁(小林久起裁判長)は、国の責任を認めない判決を言い渡した。

 午後2時10分ごろ、高裁から出てきた原告側の弁護人が「国の責任を認めない不当判決」と書かれた旗を掲げると、支援者らから「えー」などと落胆の声が上がった。

 原告の根本一市さん(79)は「原発を造る時から国は関わったのだから、事故の責任は東電だけに負わすものではないはず。(判決が)今後、原発を動かすことや、新たに造ることにつながるのではないか。それが怖い」と話した。

 先行した同種訴訟では、最高裁が昨年6月、国の責任を否定する判決を出している。今回はこの最高裁判決後、下級審では初めての判決だった。

12:15

福島で原発回帰反対の署名活動

 福島市のJR福島駅近くで、岸田政権による「原発回帰」の撤回を求める署名活動が始まった。福島県労働組合総連合(県労連)などでつくる市民団体「ふくしま復興共同センター」の約15人が、原発推進は「福島県民の苦しみを踏みにじるもので許されない」などと訴えた。

 マイクを握って訴えた二本松市の井上裕子さん(67)は、東京電力福島第一原発事故から12年がたつ今も県民の避難者が約2万7千人に上ることなどを挙げ、「政府の政策転換は、福島の事故を終わったかのようにするもので、あり得ない。新たな怒りがわく」と話した。

10:00

原子力規制委員長が訓示

 東京電力福島第一原発の事故を受けて2012年に発足した原子力規制委員会では、山中伸介委員長が職員ら約50人を前に訓示した。「福島を決して忘れない。私のこの強い気持ちは一時たりとも揺らいだことはありません。原子力規制委員会、原子力規制庁は、事故の教訓と反省を決して忘れてはいけません」と語りかけた。

 規制委は、原発の60年超運転を容認する新たな規制制度の方針を決めた。「規制に直接関わる皆さんには、科学的、技術的に判断し原子力の安全性向上に励んでいただきたい。あのような事故を二度と起こさないために、原子力に100%の安全はないということを肝に銘じながら、常に科学技術に基づいた判断をしてください」と話した。

 また、震災当時、協力企業の従業員として福島第一原発で被災し、19年に規制庁に入庁して福島第一原子力規制事務所で働く高松宏志さん(50)が録画で登場し、処理水放出設備の設置工事の検査を進めていることなど現地の状況を報告。「設置工事が無事に完了しておしまい、ということではない。今後の運用もしっかり検査で見ていきたい」と話した。

09:55

岩手の釜石沿岸で行方不明者の捜索

 岩手県釜石市の沿岸で、行方不明者の捜索が始まった。釜石海上保安部、釜石警察署、釜石大槌地区消防本部の計約70人が参加。警察官や消防署員が浜辺の捜索にあたり、海保の潜水士8人は水温8度の海中に潜った。

 岩手県警に昨年入った坂本愛里さん(19)は、初めて捜索に参加した。大きな被害を受けた宮古市の出身で、親戚2人を亡くした。被災者の心のケアをする警察官にあこがれ、この仕事を選んだ。

 「ご遺族には12年という年数は関係なく、家族が戻ってくるのを待っている。小さな手がかりでも届けられるように全力を尽くします」と話した。

 岩手県内では、1100人が行方不明のままだ。

06:16

「学び、伝えていきたい」 卒業式の前、中学生たちが海で

 仙台市若林区の荒浜で10日早朝、卒業式の前に思い出を作ろうと、中学生たちが集まっていた。毎年この時期には、授業で震災のことを学んでいる。「僕らにとって荒浜は身近で大切な場所。過去に何があったのか、これからも学んで伝えていきたい」

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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