子どもと接する職場に、従業員の性犯罪歴を確認させ、就労を制限する――。そんな新制度の創設に政府が取り組んでいます。「日本版DBS」とも呼ばれ注目を集めていますが、賛否も渦巻きます。秋の臨時国会に法案提出する方針でしたが、一転して見送りの公算に。ポイントを解説します。
Q なぜ、新制度が必要なの?
A 子どもの性被害は後を絶たない。2020年には、ベビーシッター仲介大手に登録していたシッターの男2人が、強制わいせつなどの容疑で逮捕された。
23年には、大手中学受験塾の講師が教え子の児童にわいせつな言動をさせて盗撮する事件が発生した。
こども家庭庁によると、性犯罪の有罪確定後、5年以内に性犯罪で有罪確定した人の割合(再犯率)は、13.9%。一部が小児わいせつ型の犯罪を繰り返していることも指摘されている。
子どもが被害者となる性犯罪は、大人が支配的な立場を悪用し、人目につかない場所で行われることが特徴だ。犯行が繰り返されるケースも少なくない。
こうした実情を背景に、政府が21年に閣議決定した子ども政策の基本方針などに、子どもと接する職場で働く際に性犯罪歴を確認する仕組みが必要、と盛り込まれた。
同庁は23年6月に有識者会議を設置。刑事法や民法、児童心理の専門家、保護者らで論点整理を進め、9月には報告書をまとめた。
Q 制度を考える上でのポイントは?
A 大きな論点は、①どのよ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル