【世界から】スイス 干し草の上で楽しむ人気のイベントとは?(47NEWS)

 1970年代の放送にもかかわらず、今なおCMに取り上げられるなど人気のアニメ「アルプスの少女ハイジ」。主人公のハイジが眠る「干し草のベッド」に憧れる日本人は、きっと多いはずだ。アニメの中だけだと思われている読者の方も多いと思うが、物語が生まれたスイスでは「干し草のベッド」で眠れる農家や宿泊施設が少なくとも約100軒あり、人気を呼んでいる。使われるのは、日光をたっぷり浴びて、夏の風に当たったすがすがしい香りの柔らかい干し草だ。

 スイスの人にとって、親しみ深いといえるこの干し草。農家に設けられた干し草で作った座席で観賞する喜劇も人気を呼んでおり、公演日によっては、チケットが完売になるほどだ。

▼口コミで人気に

 農家や家畜、干し草などは、やはりスイスらしさを象徴するものなので、スイス人にとっては大事なのだろう。とはいえ、町に住む人たちは普段、あまり農家を訪れない。そこで、農家と町との接点を作ろうという目的で立ち上げたプロ劇団「ホフ・テアター(農家劇)」が、国内の農家を舞台にした公演を行っている。毎年5月初めから9月末まで、スイスのドイツ語圏にある約40軒の農家を移動しながら人々に笑いを届けている。

 農家にある倉庫などにシンプルな舞台をセッティングし、客席作りは各農家が担当する。農家らしさを味わってもらうおうと、椅子よりも所有している干し草を使うことが多い。同劇団で演出家兼監督を務めるハンス・ペーター・インコンディさんは「干し草はいい香りがして、観客のみなさんたちに大好評です」と話す。屋根があるため、雨天でも安心だ。

 収容人数は倉庫の大きさ次第で、大きい倉庫の日だと300人近くにもなるそうだ。小さい舞台だと約60席で、たとえば標高1800メートルの農家小屋で65席だったという。

 幕が開くのは午後8時だ。公演期間が5カ月限定なのは、倉庫に暖房設備がないため。8月にチューリヒ近郊で鑑賞してきたが、真夏のこの時期でも夕方には涼しくなり、薄着だと倉庫内は肌寒いと感じる程度まで冷える。

 オンラインの予約状況を見ると、完売になっている日が所々見られる。鑑賞した日も公演前に売り切れになった。大々的に宣伝しているわけでも、マスコミが頻繁に取り上げてくれるわけでもない。それでも人気なのは、口コミの効果が大きいのだろう。インコンディさんも「期間内に何度でもいらしてください。そして、ぜひ口コミで農家劇を広めてください」と舞台あいさつでアピールしていた。


【関連記事】


Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment