童話・赤ずきんちゃんに登場する悪役。といえば、そうオオカミである。満月の夜になると、鋭い牙や剛毛が生えて獣と化し人間を襲う「おおかみ男」を始め、日本でも山中などを歩く人の後をつけてきて、隙あらば害を加えようとするとされた「送りオオカミ」なる言葉があるように、オオカミには古今や洋の東西を問わずネガティブなイメージがつきまとってきた。
こうした伝承の影響からか、ヨーロッパ諸国では21世紀になってもオオカミは恐怖の対象とみなされている。家畜のみならず、人をも襲う害獣と信じ込み、忌み嫌う人も多い。こういったことは伝説や逸話への登場頻度が高いことの裏返しでもある。つまりは、オオカミがそれだけ人びとの生活に密着してきた証なのだろう。そんなオオカミたちも、20世紀初頭を境に乱獲や生態環境の変化などが原因で激減した。と思いきや、それでも彼らはひっそりと、どこかで生き続けていたのだ。
▼ヨーロッパ各地に出現
2年前、オランダ北部の牧草地にオスのオオカミが1頭ひょっこりと現れた。「彼」は人を恐れる気配を見せることなく、民家付近に姿を現したため、話題をふりまく存在となった。遭遇した人たちは当初、「大型犬が迷っている」くらいにしか思わなかったそうだ。しかし、その堂々たる姿を撮影し改めて観察してみた結果、「もしかしたら…オオカミでは?」との考えを持つようになったという。そこで、自然保護団体と協力して詳しく調査を行ったところ、犬ではなくオオカミであることが判明したのだ。
国道沿いの道を横断したり、野原をゆっくり歩き回ったり―。「彼」の意図は全く違うところにあるのだろうが、その「自由な行動」が人びとの想像力をさらにかきたてた。「一匹だけなのか? 仲間はいるのだろうか?」「どこかに定住しているのか?」「何を食べて生きているのだろう?」などなど…。
オオカミ出現のニュースは今や、ヨーロッパ各地に広がっている。隣国ベルギー北部のフランダース地方にも一頭のオオカミが現れたが、同国で野生のオオカミが目撃されるのは実に約100年ぶりのことだった。ベルギーとオランダの両国に拠点を置く自然保護団体・ランドスハップは野生オオカミ出現をメディアに報告する際に、「ベルギー人にとって待ちに待ったニュースだ」と表現した。オランダを始めとする近隣諸国では目撃や生息情報が次々と入ってくるものの、ベルギーだけは「蚊帳の外」だったためである。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース