【傍聴記】植松被告の友人らが明かした事件前夜の異変

 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判が横浜地裁で続いている。これまでの7回にわたる公判の様子を詳報する。

1月10日 第2回公判

 検察官は、事件直前の被告の行動をまとめた報告書を読み上げた。

 それによると被告は2016年7月25日朝、コンビニでノートとボールペンを購入し漫画喫茶へ。同日夕方、ホームセンターなどで手袋、粘着テープ、結束バンド、ハンマーを買った。

 同日夜、東京・南青山のコインパーキングに車を止めて新宿・歌舞伎町のホテルにチェックイン。友人と焼き肉店で食事し、ホテルで派遣型風俗を利用した。

 26日午前0時ごろ、コンビニで封筒、切手を購入しホテルをチェックアウト。車で中央道を通ってやまゆり園へ。犯行時刻は午前1時43分~同2時48分。同54分にコンビニでエクレアやたばこを買い、3時5分に津久井署に出頭。4時27分、建造物侵入と殺人未遂の疑いで緊急逮捕された。

 現場で凶器5個、柳刃包丁(刃渡り21センチ)▽ぺティーナイフ(同12・4センチ)▽菜切り包丁(同20・3センチ)▽ぺティーナイフ(同14・3センチ)▽ぺティーナイフ(同15・6センチ)を発見。

 美容外科に通っていたことも明らかにされた。 15年4月に美容外科クリニックに通院開始。16年6月まで12回通院。同年3~6月には別のクリニックにも行っていた。

職員たちの証言

 被害者のうち園の職員は法廷で匿名で「丙A」「丙B」などと呼ばれている。証言の一部(要旨)は次の通り。

職員「丙B」さんの供述調書

 事件前日の7月25日は夜勤で午後5時に出勤。夕食の配膳と就寝前の服薬支援をした。飲んだ人から就寝してもらい、午後9時ごろまでに終えた。部屋や廊下を消灯し、常夜灯だけがついている状態だった。

 午前2時ごろ、ふと顔を上げると見知らぬ人が立っていた。「親指を出せ」と言われ、抵抗したが「手を切り落とす」と言われて手首を縛られた。

 利用者の居室まで引っ張られ、被害者の「甲F」さんについて「しゃべれるのか」と聞かれた。「しゃべれません」と言うと被告は甲Fさんの首元に向かって刃物を3回振り下ろした。

 他の部屋でも質問された。「しゃべれない」と答えると殺されてしまうと思い、会話できない人でも「しゃべれます」と言った。だが被告は「こいつはしゃべれないじゃん」と言って腕を振り下ろした。

 「やめてください、なんでこんなことを」と泣きながら言うと、被告は「宇宙から来た、植松だ。こんなやつら生きている価値がないんだ」と言った。

 事件の光景が脳裏に浮かび、突然涙が出る。守り切ることができず、自分を責める日々が続いている。

 職員「丙C」さんの供述調書

 人影が廊下を歩いてきた。近づくと、半年前に退職した植松とわかった。植松が「縛るから」と言った。手首が締められる感覚があった。

 「あいつはどこにいる。わっと怒るやつ。あいつは殺さないとな」と言って、利用者の居室に入っていった。「うわあ、あー」という、うめきが聞こえた。

 職員「丙D」さんが被告に背後から包丁を突きつけられ私の方に歩いてきた。丙Dさんを手すりに縛り、「これから厚木とかにも行っちゃうからね」と言った。身体と知的の重複障害がある人などが入所する厚木精華園だと思った。その利用者も殺そうとしているのだと思った。

職員「丙E」さんの供述調書

 忘年会が終わって外に出たとき、被告と別の職員が「この野郎」と言い合いをしていて、止めに入ったことがあった。被告が「こういう人たち(障害者)って要らないんじゃないか」と言い、別の職員と言い合いになったと聞いた。

 事件当日の午前2時半ごろ、出入り口が開く音がした。血のついた刃物を持った男がいる。「植松だ。殺される」と思った。

 被告は「動かないでくださいね…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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