皇后さまは9日、57歳の誕生日を迎え、現在の心境を文書で寄せられた。新型コロナウイルスに苦しむ人たちを支える様々な人々に深い敬意と感謝の意を表し、陛下を支え、皇后としての務めを果たすべく、健康の一層の快復に向け努力を続ける決意を綴られた。 【画像】皇后雅子さまのこの1年 以下が「令和2年皇后陛下お誕生日に際してのご感想」全文。
命の大切さ、尊さに深く思い寄せる一年
今年もこうして無事に誕生日を迎えることができますことを有り難く存じます。 今年は、特に命の大切さ、尊さについて改めて深く思いを寄せる年になりました。 1920年頃に世界的に大流行したスペインインフルエンザ以来ほぼ1世紀を経た今年、思いも寄らず世界中が新型コロナウイルス感染症の大きな災厄に見舞われることとなり、大変に心の痛む年でした。 新型コロナウイルス感染症により、世界中で、そして日本国内でも多くの方が亡くなっていることに対し、この場をお借りしてお悔やみ申し上げます。世界の各地で、あるいは日本国内で、多くの方がこの感染症に苦しみ、懸命の治療にもかかわらず亡くなっていく現実は、本当につらいものです。 このような中、医療に従事される皆さんが、大勢の患者さんの命を救うために、そして、感染の拡大を防ぐために、日夜献身的に力を尽くしてこられていることに、心からの敬意と感謝の意を表したいと思います。 医療に従事される皆さんには、特に感染拡大の初期には、治療法もまだ確立されない中、また、防護服やマスクを始めとする医療物資が大きく不足する中にあって、どれ程の不安と緊張の中で、自らの命の危険も顧みず、強い使命感を持って治療に当たってこられたことかと、本当に頭の下がる思いがいたします。 我が国では、幸いにして、今までのところ感染爆発のような事態には至らずに、諸外国と比べると感染拡大をある程度の規模に抑え込むことができておりますが、これは、感染症対策の専門家の方々の見識と御尽力、政府や地方自治体による取組、そして、多くの国民の皆さんによる様々な面での協力とたゆみない努力のお陰であると、非常に有り難く思っております。 一方で、感染症の感染拡大が経済社会活動に大きな影響を及ぼしている結果、経営破綻や失業に追い込まれるなど、苦境に立たされている方が大勢いらっしゃることにも大変心が痛みます。 また、新型コロナウイルス感染症に感染された方や医療に従事されている方、あるいはその御家族に対して、差別や偏見の目が向けられるという問題が起きていることや、制約の多い生活が続く中で、家庭内での暴力や子供への虐待が増加している可能性があるということも耳にしており、案じています。 大きな禍(わざわい)に見舞われている社会の中で起こりやすい問題とはいえ、今後、皆が心穏やかに日々を過ごせるようになることを願ってやみません。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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