コロナ禍で参列者や規模が制限される中で開かれた、今年の卒業式。休校になったり部活が禁止されたり、進路にも制約があったりと、今年度の高校3年生は数多くの「できなかった」が積み重なった1年間を過ごし、学校を後にする。3人の高校生の卒業式を訪ね、味わった挫折や葛藤と、4月から踏み出す新たな一歩への思いに耳を傾けてみた。(白井伸洋、細川卓、井手さゆり)
拡大する卒業式を終えて、慣れ親しんだ教室の外を見る三田村大志君=2021年2月20日、大阪府大東市、白井伸洋撮影
四條畷学園高校 三田村大志(みたむら・たいし)君
夢はマーチングの本場アメリカへ渡り、テナードラムを学ぶことだった。が、その夢は新型コロナウイルスに阻まれた。
音楽を始めたのは、保育園のころ。最初は鼓笛隊でシンバルを握り、やがて大太鼓やスネアドラムを担当するようになった。楽器が変わるにつれリズムもだんだん複雑になっていったけれど、その分、たたけるようになったときの楽しさは増していった。
「ドラムってテンポを支えて陰ながら周りを引っ張る役割だけど、いざとなったら格好良さを見せつけられるパート。そういうところが、好きになったところかな」
高校生で本格的に始めたテナードラム。振り付けをつけ演奏することの魅力にもはまっていった。高校2年の頃から、指導の先生に勧められ、卒業後もアメリカでテナードラムを続けることを考え始めた。
youtubeで見た本場の映像からは、一人一人が自分で考え、表現したい音を鳴らし、振り付けをしていることが伝わってきた。
「ここでやってみたい」
いろいろなことを学べるだろうと、両親も背中を押してくれた。
3年になった昨年の春、渡米の気持ちを固めたちょうどその頃に新型コロナウイルスの感染が世界や国内に広がりつつあった。授業は自宅での課題学習が中心になり、部活動も停止。国際線の飛行機も飛ばなくなっていた。
「あれ? 俺、アメリカに行けるの?」
感染者数を伝えるニュースを不…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル