筆者は2015年に行なわれた一度目の「都構想住民投票」も取材している。より詳しく言えば、その1年前にも大阪で取材をしている。 2014年2月、当時の大阪市長だった橋下氏は都構想推進の是非を問うために辞職届を提出し、出直し市長選に打って出た。市議会は辞職に同意しなかったが、辞職届提出20日後に橋下氏は自動失職。3月9日告示、3月23日の日程で市長選が行なわれたのだ。 このときの大阪市長選挙には、橋下氏の他に、マック赤坂氏、藤島利久氏、二野宮茂雄氏も立候補していた。しかし、都構想に反対していた公明、自民、民主、共産の4会派は「出直し選挙には大義がない」として候補者を立てなかった。橋下氏は「政策論争をしたい」と言って出直し選挙に臨んだはずだったが、他の3候補からの討論会開催の申し入れを完全に無視した。選挙期間中も、都構想について市民に説明する「都構想タウンミーティング」に多くの時間を割いていた。ちなみに、この時の出直し市長選への注目度は低く、投票率は23.59%で過去最低となっている。 私はこの市長選挙を現地で取材していた。しかし、記憶がおぼろげだ。そこで自分が2014年にツイッターに書き残した「都構想タウンミーティング」関連の投稿を読み直してみた。 最初に出てきたツイートは2014年3月5日。大阪市の大正区コミュニティセンターで行なわれた都構想タウンミーティングについてのものだ。 大阪維新の会の都構想タウンミーティング。橋下徹さん「メディアは都構想の中身を報じない」などとして「読売新聞、くるくるパー新聞ですよ」とメディア批判全開。
3月7日にはこんなことも書いていた。 大阪維新の会タウンミーティング質疑。大阪超自由。マイク握って「橋下さんは大阪市長だけやっとりゃええんや!維新の会とか他のことやめとき!」と言うおっちゃん、他人の質問時にマイク奪って喋り出すおばちゃんもいる。「大阪は仁徳天皇が作った。仁徳天皇みたいにがんばって」という人も。 タウンミーティングの会場になった公園で橋下徹さんの話にいちいち大声でツッコミを入れていたおっちゃんがいた。犬連れてたけど公園内におっちゃんのものと思われるテーブルと椅子(おそらく常設)とたくさんの荷物があった。おっちゃんをなだめるおっちゃんの手には発泡酒の缶。 だんだん記憶が蘇ってきた。このときの都構想タウンミーティングでは、橋下氏が大きなパネルを紙芝居のようにめくり、都構想のメリットをなめらかな弁舌で説明していた。そして話の節々に軽妙な語り口で厳しくメディアを批判した。集まった聴衆は橋下氏のマシンガントークを笑ったり頷いたりしながら聞き、会場は不思議な一体感に包まれていた。 これは今の大阪維新の会の「まちかど説明会」の原型だ。このときから共通している最大のポイントは「参加者にマイクを渡す」ところである。 従来の政治の世界の演説は、政治家が一方的に話すものだと相場が決まっていた。ところが「都構想タウンミーティング」では、会場の聴衆にマイクを預けて質問させる。これをみた参加者たちは「政治は身近なもの」「手の届くもの」と思ったに違いない。質問タイムが始まると、会場のあちこちから積極的に手が挙がった。 大阪維新の会の支持者は一生懸命に動く。それを支えているのは「政治家との一体感」や「距離感の近さ」だろう。大阪維新の会が「政治への入り口」を広げたのは間違いない。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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