東京五輪が迫る中、日本の女性と競技スポーツをめぐる環境には、どのような課題があるか。袋井市の総合型スポーツクラブ 「アザレア・スポーツクラブ」理事で国際人権法学者の谷口真由美さん(44)に、現状や本番への期待を聞いた。
-現状における女子のスポーツ競技の課題は。
「競技団体の役員や指導者が男性に偏っている問題は大きい。女性競技の団体ですらまだまだ男性役員が多い。現在は監督もコーチも圧倒的に男性が多い環境が大半で、その中でのスポーツ特有の強い上下関係は、体罰やセクハラにもつながりやすい。現場の男女のバランスは重要だ」
-アスリートの置かれている環境は。
「一般的に女子では、本格的に競技できる場所を見つけていくのは男子ほど容易ではない。モデルも少なく、アスリートとして進んだ先に何があるのか、引退後も含めて不安が大きいと思う。出産前後の支援なども始まっているが、享受できるのはまだトップ中のトップに限られている」
―どのような意識が必要か。
「女性アスリートが抱える問題は、社会進出に伴って女性が直面してきた問題と変わらない。子育て中の選手の状況は働くお母さんと同じだ。ただ、一般社会ですらまだ課題が残る中、スポーツ界はさらに男性優位の傾向が強い。女性のスポーツは競技レベルを問わずレジャー、レクリエーションで、男性とは重要度が違うという感覚も残る。そこを変えないと」
-女子競技の支援で欠けているものは。
「日本には安定した女性のプロスポーツリーグはまだない。ワールドカップを制したサッカーですら、2021年の発足が決まったところ。身体面の支援が強調されるが、いくらそこが充実しても経済的裏付けなしに競技は続けられない。女子選手の報酬を上げていく、それがかなうだけの資金調達の仕組みを作る、そういう取り組みが必要だ」
―女子競技は集客が難しいとも言われる。
「女子の試合は男子に比べてスピード感がない、などと言われるが、国内では女子の方が世界レベルに近い競技もあり、見れば当然面白い。例えばサッカーは、男子はワールドカップでベスト8にも入っていない。いちいち男女を比較するのは非建設的で、見る機会がファンを作るし、取り組む人の裾野も広げる」
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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