名古屋刑務所の刑務官が受刑者に暴行を重ねていた問題を受け、法務省は、刑務所などの運営を第三者の視点でチェックする「刑事施設視察委員会」制度の在り方を見直している。どんな仕組みをめざすべきなのか。有識者に聞いた。(聞き手・村上友里、高橋俊成)
今回の名古屋刑務所の問題は、刑務所で「行刑改革会議」の提言をふまえた運用がされていたかどうか、反省する機会になった。刑務所全体のあり方をもう一度考えるチャンスだ。
視察委は、閉鎖的な刑務所が内部を外に見せるようになった点で重要な意味はある。ただ、現状は、医師や弁護士ら専門家と、地域の一般市民から構成されている。意見をまとめる際、専門的に踏み込んだ意見を出しづらいという指摘もある。
視察委の権限を高めることは大事だが、仕事をしながら視察委員を務めている人が多く、活動には限界もある。イギリスのように、市民によるチェックとは別に、専従して運用をチェックする「査察官」の仕組みも検討すべきではないか。
名古屋刑務所視察委員会委員長の川本一郎弁護士
今回の事件が起きていた時も視察を重ねていたが、事実関係を確認できなかった。視察委制度が機能不全に陥っていることがはっきりした。視察委が、受刑者の不服や不満を確実に吸い上げる仕組みが必要だ。
無作為に選んだ受刑者への面…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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