【森永卓郎の本音】パンデミックならGDP半減(スポーツ報知)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。最近では、海外渡航がなく、感染者との濃厚接触もないのに感染した人が増えている。市中感染が始まったことは、間違いないだろう。現時点ではワクチンや特効薬のめどが立っていないから、年内は混乱が続くだろう。

 6日に大和総研が発表したリポートによると、感染の影響が1年続く場合、経済成長率が0.9%押し下げられ、日本経済がマイナス成長に陥る可能性があるという。しかし、この推計には、〈1〉中国経済の減速〈2〉観光客の減少などのインバウンド需要の減少〈3〉5円の円高が織り込まれているだけだ。

 すでに中国の工場が止まった影響でトヨタや日産の工場が一時生産ラインを止めるといったサプライチェーンへの影響が生じており、国内イベントも中止が相次いでいる。繁華街の人出も大幅に減少していて、客待ちタクシーも増えた。昨年10~12月期のGDPが消費税増税の影響で年率マイナス6.3%と、経済が失速する中で、新型肺炎の影響が加わるのだから、今年の日本経済は、戦後経験がないほど惨憺(さんたん)たる状況になるだろう。

 さらに問題は、爆発的流行(パンデミック)が起きた時だ。入院や自宅待機で労働者の3割が失われた時の効果を簡単な経済モデルを作って推計すると、GDPは、ちょうど半減になる。

 私は、今こそ無作為抽出で、一般国民の間にどれだけ感染が広がっているのかを調べるべきだと思う。正確な情報がなければ、対策を講じられないからだ。

 しかし、政府はそれをしないだろう。政府が一番恐れているのは、東京オリンピックの中止だからだ。もし、日本で市中感染が広がっているのが分かったら、確実にオリンピックは中止になる。それは、利権を持つ人が許さないのだ。(経済アナリスト)

報知新聞社

【関連記事】


Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment