学校でのできごと、友だちのこと、家族のこと、将来のこと――。
広島、長崎に住む10代の若者3人が、それぞれの何げない日常をしたためた日記があります。
1945年8月、「あの日」までの日々。毎日、1日分ずつ紹介していく予定です。
■■■1945年7月21日(土)■■■
雨の日曜日、長崎医科大1年の秋口明海さん(17)は、哲学書に読みふけっていました。
家庭修練日。
朝早く起きたが、頭痛がするので、また床についた。39度5分くらいの熱である。
朝、父と出合った。私は小川(書道教室)では草書と学校の手本とを習った。大へんむつかしい。Dさんとも今日が最後なので、思うぞんぶんお話をしておいた。かえると救急袋の整理をした。お昼の支度をして、食後もすると、祖母は「遠足に行くの」と聞かれたのにはあきれてしまった。午後4時までかかった。夕方の支度をして、ご飯をすますと少し自習した。
せっかくの日曜日なのに雨ですっかり駄目にされてしまう。図書館に行くつもりだったんだが。
仕方なしに「エミール」「エッケルマンのゲーテとの対話」と一日中読んだ。
それぞれにルソー、ゲーテの人物が最もよく表れている書ではなかろうか。
熱烈たる自由主義者ルソー。
これはまた平静なゲーテ。彼にその反面、熱情的な恋愛詩があるのは不思議だ。
偉大なるゲーテの抱擁力、彼こそは小宇宙のごとき感がある。
この日の広島・長崎は
広島 最高気温27.7度…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル