3月31日で所属していた事務所を退社し、ブルゾンちえみから卒業した藤原しおりさん。 「藤原史織」という車を運転するのは5年ぶり。でも、以前より乗り心地良く感じる。 それはきっと助手席に“ブルゾンちえみ”が乗っているからだ」 “ブルゾンちえみ卒業”の理由について藤原史織さんがハフポスト日本版に初めて自分の言葉で書き下ろしました。 ———————-
3月末まで所属していた事務所を退所し、藤原史織になって2ヶ月が過ぎた。 人間の慣れというものは不思議なもんで、最初は違和感のあった「藤原さん」呼びも「史織さん」呼びも、この2ヶ月ですっかり慣れてしまった。 私は2014年からブルゾンちえみだった。 先輩芸人「はなしょー」という女性コンビのボケ担当、はなさんが3秒で名付けてくれた。 「芸名つけてください」「ん~…ブルゾンちえみ!」 3秒で名付けたとは思えないほどしっくりくる名前。 名付けられた瞬間からめちゃくちゃに私は気に入り、 LINEの名前やSNS、名前という名前すべてをその日のうちに変更した。 「今日から私はブルゾンちえみだ」 自分のパワーが何倍にもなる装備を手に入れたような感覚。 ワクワクした。 ブルゾンちえみという名前は最強だ。 「ブルゾンちえみです」と自己紹介すれば誰もが瞬時に覚え、私にピッタリな名前だと感じているのがわかる。 そして私自身ブルゾンちえみと名乗るたびに、素の自分ではない、もう1人の自分になれることが楽しくなっていた。 そうやってこの数年間、私は公私ともにすっかり「ブルゾンちえみ」になっていた。 だから「藤原史織」として生活するのは久しぶり。最初はぎこちなく不自然。 ずっと乗っていなかった車を久々に運転するようだった。
芸歴2年でブレイク。まだまだ未熟だと思っていた
2017年元旦「ぐるナイ!おもしろ荘」(日本テレビ)の出演をきっかけに、私はキャリアウーマンのキャラクター、そして「35億」のフレーズでブレイクした。自分の作ったものがいろんな人に喜ばれることが本当に嬉しかったし、最高の達成感だった。 ただ、そんなふうに喜びを感じたのも束の間、いつも俯瞰で見ているもう1人の自分が言う。 「よかったね。でもこれからどうなるんだろうね。」 ブレイクした時点で私の芸歴は2年目、かなり早いブレイクだったと思う。 ネタ数も少ない、場数も少ない、トークスキルもまだまだ未熟。 そんな自分が「芸人です」と名乗ることは自分の中ですごく畏れ多く感じていた。 「芸人さん」という職業をリスペクトするあまり、スキルの乏しい芸歴2年目の自分に自信なんてあるはずもなく、「最低でも7~8年は修行しないと芸人って名乗れないな」と思っていた。 だから、「早めのブレイク」は私にとって、嬉しさよりも不安の方が大きかった。 でもそんなことも言ってられない。 ありがたいことに仕事はやってくる。 ひな壇も、ロケも、取材もイベントも…何もかも経験のないことばかり。 自信なんてもちろん無いけれど、今私のできる100%で、全力で、やるしかない。 「これからどうなるんだろうね」と傍で囁く自分の声をかき消すように、とにかく私は「今日」の仕事に集中した。余計な感情は追い払い、無心でやり切るのみだ。来た球を打ち返し、また来た球を打ち返しとまるで卓球でもしているかのように。そうして「明日」がやってくる。 もちろん、そんな日々は楽しくもあった。忙しいことは苦じゃない、むしろ好きだし、毎日の仕事は他では経験できないことばかり。そんな刺激的な日々は昔からの私の理想だった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース