関西テレビ
公文書の改ざんを強いられ、財務省近畿財務局の職員・赤木俊夫さんが自殺した問題。
関西テレビは妻の雅子さんが、近畿財務局を訪れた際のやり取りを記録した音声データを入手しました。
遺族の気持ちを逆なでするような対応がいくつもあったことが分かりました。 【近畿財務局 訪問時の音声データ】
近畿財務局の担当者
「この場でちょっとお答えする訳にはいかないので」
「お答えは今この場ではできません」
「この場ではちょっとお答えはできないと」 遺族を目の前に、“ゼロ回答”を続ける近畿財務局の担当者。 【近畿財務局 訪問時の音声データ】
赤木雅子さん
「ここで何十年働いていたと思うんですか、夫は。なんでこんなに冷たいんですか」 音声データには、夫が自殺した後も遺族を苦しめる、近畿財務局の対応が記録されていました。 近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54歳)は、学校法人「森友学園」との土地取引に関する公文書を改ざんするよう強いられたことを苦に、2018年に自殺しました。 妻の雅子さん(49)は、夫が自殺した経緯が知りたいと、2つの裁判を起こしています。 1つ目は、国と佐川元理財局長を相手に、損害賠償を求めるもの。
2つ目が、近畿財務局に対して、早期の情報開示などを求める裁判です。 これらの裁判を起こすきっかけとなったのが、“黒塗り文書”と開示決定の“1年延期”。 去年2月、俊夫さんの自殺が民間企業の労災にあたる「公務災害」に認定されたことを受け、雅子さんは認定に関わった人事院に情報の開示を求めました。 しかし、人事院が開示した約70ページの文書は、ほとんどの部分が黒く塗りつぶされ、病名や死因以外何も分かりませんでした。 【赤木雅子さん(インタビュー)】
「ぱらっとめくったらほとんどが真っ黒で、えーって思って。なんでこんなに黒いんだろうって、怒りを通り過ぎて、あきれたというか。これじゃ、何の意味も分からないし、夫が何に苦しんでいたのかも分からなかったので」 雅子さんは2020年4月に、近畿財務局にも情報の開示を求めましたが、大半の文書について開示するかどうかを、2021年5月までに決定すると通知されました。 財務局は期限の1年延長について、「文書が著しく膨大」「新型コロナウイルスの影響で業務が多忙」などと説明しています。 【赤木雅子さん(インタビュー)】
「いくらコロナで大変だとは言っても、1年というのは、時間を稼いでいるようようにしか思えないですね」 以下の音声データは、ことし9月に雅子さんが近畿財務局を訪問した際に、録音したものです。 【近畿財務局 訪問時の音声データ】
近畿財務局担当者
「総務課で開示請求の担当をしている●●と申します」
「人事課で公務災害の担当をしている▲▲と申します」 雅子さん
「お名刺は無いんですか?私、近畿財務局の方からお名刺を頂いたことがないので」
近畿財務局担当者
「結構な数になっちゃうので、もう準備をしていないんですよね、あらかじめは。申し訳ございません」 「全員に渡すとキリがないから」という理由で、名刺を渡さず、雅子さんが差し出した茶封筒に名前を書いた担当者の2人。 俊夫さんの出退勤に関する書類や、各部署からの報告書を今後、一定程度は開示する予定だと説明しましたが…。 【近畿財務局 訪問時の音声データ】
近畿財務局担当者
「全く何もしていないと捉えられると、そこは違うんですけども、この場ではちょっとお答えはできないというふうにさせて頂きたいんです。どういう書類があって、開示・不開示の判断とかもする上で、文書量がどうということも、全て総括して、訴訟の場でお答えするという形になっていますので」 雅子さん
「ここで何十年働いていたと思うんですか、夫は。なんでこんなに冷たいんですか」
近畿財務局担当者
「冷たいというか…」
雅子さん
「あなた達お二人、きょうは満足ですか、そんな答えして」 訴訟中であることを理由に、開示する資料の大まかな種類や分量に関する質問には全て、事実上の“ゼロ回答”を続けました。 俊夫さんが長年務めた近畿財務局を訪れたのは、この日が初めてだったという雅子さん。 【赤木雅子さん(インタビュー)】
「花の一輪でも飾ってくれているのかなとか。どんな雰囲気のところで仕事をしていたのかは、見てみたかったですね」 俊夫さんが働いていた部屋を見せて欲しいとお願いしましたが…。 【赤木雅子さんが近畿財務局 訪問時の音声データ】
近畿財務局担当者
「すいません、きょうの時点でまだこの時間帯というのは、別の職員が当然座っておりましてですね…」
雅子さん
「ちょっと手を心の中で合わせたいです」
近畿財務局担当者
「ちょっと難しいと思いますね。今は裁判中ですし、あまりそういった訴訟以外の部分とかでのことっていうのが、ちょっと、あのー、なんていうんですかね、訴訟に影響を与えてもいけませんから」 【赤木雅子さん(インタビュー)】
「中に入りたいのではなくて、きっと外からブースが見えるはずなんですよ。そこをそーっと見せてくださったら良いと思うんですけど…」
Q上司にもかけあってくれなかった?
「その場で確認もしてくれなくて、とりあえず帰ってくださいという雰囲気でした。ちょっとでも怪しいものがあったら隠す。それが改ざんにつながっているし、夫の死にもつながっているし、それをまた私にやってくるという。どれだけ隠すんだろうって思います」 11月5日、近畿財務局を相手取った裁判の第2回口頭弁論が大阪地裁で開かれます。
近畿財務局は、開示する予定の文書量や、新型コロナによる業務への影響について具体的に説明した上で、雅子さんの訴えに真っ向から反論する方針です。 【赤木雅子さん(インタビュー)】
「夫が30年勤めたところなので、夫に対して気持ちをこめて、一つ一つ気持ちをこめて返事をして欲しいんですよ。こういうことが二度と起きてほしくないので。何があったのか、きっちり本当のことを教えて欲しいと。それだけです」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース