第78期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦5局が27日午前9時、静岡市葵区の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で一斉に指された。「将棋界の一番長い日」と称され、トップ棋士たちが1日がかりで熱戦を繰り広げた。
対戦カードは、▽渡辺明三冠(8勝0敗)―三浦弘行九段(4勝4敗)▽広瀬章人八段(5勝3敗)―木村一基王位(3勝5敗)▽羽生善治九段(4勝4敗)―佐藤康光九段(4勝4敗)▽稲葉陽(あきら)八段(4勝4敗)―佐藤天彦(あまひこ)九段(3勝5敗)▽糸谷(いとだに)哲郎八段(3勝5敗)―久保利明九段(2勝6敗)。持ち時間は各6時間。
来期のA級の順位決まる
将棋・名人戦A級順位戦の来期の順位は以下のようになった。
①豊島名人か渡辺三冠②広瀬八段③佐藤康九段④佐藤天九段⑤羽生九段⑥糸谷八段⑦三浦九段⑧稲葉八段⑨菅井八段⑩斎藤八段
羽生九段「ミスが多かった」
拡大する勝った佐藤康光九段(右)と羽生善治九段。両者の表情からは疲労の色が見て取れた=27日、静岡市葵区、村瀬信也撮影
最終戦を勝利で飾り、5勝4敗で終えた佐藤康光九段。終局後、「最後ははっきり負けだと思いました。詰まされてもしょうがないと思っていましたが、詰まないですかね。ちょっと読み切れなかった。運がよかったという感じです」と話した。
羽生善治九段は「終盤は何かあったと思うんですが、決めきれなかった。勝ちはたぶんあったと思う」。4勝5敗に終わった今期を振り返って「全体的にミスが多かったので、反省する点が多い1年でした」と話した。
拡大する敗れた羽生善治九段=28日未明、静岡市葵区、村瀬信也撮影
25:13
佐藤康光九段が勝利
佐藤康光九段が、羽生善治九段に勝利。187手の大熱戦を制した。佐藤康九段は5勝4敗。羽生九段は4勝5敗で今期を終えた。
23:51
糸谷八段「幸運でした」
からくもA級残留、対局直後の糸谷八段が語る=高津祐典撮影
糸谷八段―久保九段戦は午後11時51分、久保九段が投了(負けの意思表示)。糸谷八段が119手で勝ち、今期A級の成績を4勝5敗として、自力で残留を決めた。この結果、残る一つの降級枠は木村王位と決まった。
勝った糸谷八段は、本局を振り返って、「あんまり、やってない将棋なので、ちょっと、こわかったんですけど。桂を取ったあたりは少し有望かなと思っていたんですけど。その後、全然分からなくなってしまって。最後は、歩を打つ(101手目▲6二歩~103手目▲5二歩)のでは負けにしたかな、と思ったんですけど。ただ、(自玉の)寄り方がよく分からなかったので。実戦は幸運でした」と話した。本局を制した糸谷八段は、自力で残留を決めたが、今期A級を振り返って、「苦しいスタートで、途中で勝てたんですけど、逆転負けもあったので、そのあたりを来期は頑張りたいと思います」と話した。
記者から「佐藤天彦九段も、木村さんも勝たれてたんで……」と言われると、「そうだったんですか」と糸谷八段は思わず苦笑い。「それは……。じゃあ、負けたら落ち(=降級)だったんですね」と漏らし、「まあ、負けたら、普通は落ちるものなので。そう思って、やってました」と語った。
敗れた久保九段は本局を振り返って、「やりたい課題の局面だったので、やってみようと思ったんですけど。その瞬間、難しいというか、悪くしたかなと思ったんですけど。やってるうちに、結構、大変かな、と。途中、終盤は、もう、ちょっと、よく分からなかったですね」と述べた。今期A級については「また来期、頑張りたいと思います」と答えた。(佐藤圭司)
木村王位「つらいですけど、また頑張りたい」
糸谷哲郎八段―久保利明九段戦が終わった時、木村一基王位は既に自室に戻っていた。電話をかけることがはばかられたため、記者は「コメントなしでも結構です」と断りながら木村にメールを送った。すると、木村から電話があり、コメントをしてくれた。
「精いっぱいやったので仕方な…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル