第78期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦5局が27日午前9時、静岡市葵区の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で一斉に始まった。「将棋界の一番長い日」と称され、トップ棋士たちが1日がかりで熱戦を繰り広げる。
対戦カードは、▽渡辺明三冠(8勝0敗)―三浦弘行九段(4勝4敗)▽広瀬章人八段(5勝3敗)―木村一基王位(3勝5敗)▽羽生善治九段(4勝4敗)―佐藤康光九段(4勝4敗)▽稲葉陽(あきら)八段(4勝4敗)―佐藤天彦(あまひこ)九段(3勝5敗)▽糸谷(いとだに)哲郎八段(3勝5敗)―久保利明九段(2勝6敗)。
すでにA級優勝と名人挑戦が決まっている渡辺は、第70期の羽生以来8期ぶりの全勝優勝がかかる。相手の三浦は第76期の最終戦で対戦し、渡辺が敗れてA級から陥落したという因縁の相手だ。対戦成績では渡辺の16勝8敗だが、A級では三浦が4勝3敗と勝ち越している。一方、残留争いでは、久保の降級が決まっており、佐藤天と糸谷、木村の3人に降級の可能性がある。
持ち時間は各6時間で、すべて決着がつくのは深夜になる見込み。
22:31
佐藤天九段が勝利、A級残留
佐藤天彦九段が稲葉陽八段に99手で勝利。4勝5敗となり、自力での残留を決めた。敗れた稲葉八段も4勝5敗。
22:31
木村王位が勝利
拡大する勝って4勝5敗とした木村一基王位。残留に向けて、望みをつないだ
木村一基王位が、95手で広瀬章人八段に勝利。4勝5敗になり、A級残留に望みをつないだ。広瀬八段は5勝4敗になった。
22:10
木村王位が優勢
拡大する検討室の棋士たちは、終局が近い対局の模様を映すモニターを見つめている=27日、静岡市、村瀬信也撮影
比較的じっくりした展開だった木村一基王位―広瀬章人八段戦も、既に終盤戦に突入している。木村王位は83手目▲5九金で、飛車の入手を図った。飛車を手に入れれば、相手の玉に厳しく迫ることができる。
大盤解説を務める中村太地七段は「△5九同飛成と取るしかないように見えます。▲同銀△同飛成▲4一銀……。先手が勝ちそうです」と話す。残留に向けて勝利が絶対条件となる木村王位だが、競争相手の佐藤天彦九段と糸谷哲郎八段も優勢とみられている。検討室の棋士たちは、3局の模様が映るモニターを見つめている。
拡大する広瀬章人八段の88手目△5九竜を見た木村一基王位は、横を向いて手で顔を覆った。読み筋を再確認したのかもしれない=27日、静岡市
21:45
糸谷ー久保戦、決着近づく
進行が速かった糸谷哲郎八段―久保利明九段戦は、決着の時が近づいている。優勢とみられている糸谷八段が考え込んでいる。早指しで知られるが、75手目には、夕食休憩を挟んで79分の長考を記録した。検討室では、「今日は慎重だね」の声が上がっている。
20:45
苦しい木村王位
拡大する控室で検討する棋士たち。右手前は阿部光瑠六段、左手前は香川愛生女流三段
渡辺―三浦戦が終局し、検討は久保―糸谷戦、佐藤天―稲葉戦に移っている。形勢は糸谷八段と佐藤天彦九段が優勢との判断だ。木村―広瀬戦はまだまだ形勢不明だが、仮に糸谷、佐藤天が勝つことになると、木村王位は自身の対局で勝っても降級が決まってしまう。
もう一局の羽生―佐藤康戦はまだ中盤戦。終局は遅くなりそうだ。
■史上4人目の全勝、渡辺三冠に…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル