1月1日夕に起きた能登半島地震。いまだ被害の全容が見えない中、懸命な捜索や救助、支援活動が続けられています。3日の動きを中心に、タイムライン形式でお伝えします。
■■■1月3日■■■
11:30
松本総務相、総括支援チームの派遣方針を示す
総務省が非常災害対策本部会議(本部長・松本剛明総務相)を開き、石川県に入っている小森卓郎政務官がテレビ電話で「被災している市町から、食料が届いていないという声を聞いている。仮設トイレにも非常に強いニーズがある」と報告した。携帯電話が通じないことが避難所などで対応する際の課題になっていることも説明した。
松本総務相は、災害対応の知見がある他県の自治体職員による「総括支援チーム」を現地に派遣することなど対応方針を示した。関係機関が事業者と連携して、通信インフラの早期復旧をめざすことなども指示した。
11:15
首相「まさに今、正念場」 救助要請130件
岸田文雄首相は首相官邸で記者会見し、「地震の発生から40時間以上が経過した。被災者の救命救助は時間との闘いであり、まさに今、正念場であると感じている。人命第一で救急、救助に全力を尽くしている」と述べた。
3日午前8時現在で地震による死者は62人、重傷者は26人、軽傷者は110人との報告を受けていると説明。また、倒壊した建物などに閉じ込められているなど救助要請が約130件にのぼっていることを明らかにした。現地で救命救助などにあたる自衛隊の人員を1千人規模から2千人規模に、救助犬を2倍以上にそれぞれ増強するなど態勢を強化する考えを示した。
首相はまた、家屋やビルの倒壊現場での救助活動に必要な大型重機の搬入について、「ルート確保は寸断された道路の啓開が進んでいるほか、海上輸送ルート確立のための港湾の状態把握も進めており、一部海上ルートによる輸送を開始した」と説明した。
2日夜に羽田空港で発生した日本航空(JAL)の旅客機と、被災地の救援に向かおうとしていた海上保安庁の航空機の衝突事故については、「各省庁が連携をしながら様々な(支援物資の)輸送ルートを確保している。事故の影響は生じていないと認識している」と語った。
11:00
立憲・泉代表「与野党を超え全力で支援」
立憲民主党は能登半島地震対策本部の初会合を党本部で開いた。泉健太代表や岡田克也幹事長らが出席し、内閣府の担当者のほか、電話で新潟、富山、石川の各県連から被害状況などを聞き取った。
会合後、泉氏は記者団に「与野党を超えて、全力で応援、支援すると政府の対策本部に伝えた。一刻も早い支援に全力を尽くしたい」と語った。立憲としての取り組みについて「必要な物資でも各避難所にはなかなか届かない細かな物資もある。できる限り仲間たちが地域を回ってニーズを確かめ、金沢を拠点にしながら物資を送り届けていきたい」などと説明した。
10:55
「逃げろ!」倒壊現場の救助活動中、震度5強
午前10時55分ごろ、石川県輪島市河井町は震度5強の地震に見舞われた。
「逃げろ!」
ビルの倒壊現場で救助活動をしていた大阪市消防局員の叫び声が響いた。
約20人で、ビルに押しつぶされた住宅に取り残されているとみられる女性の救出にあたっていた。
隊員らは駆け足で建物の周りから離れ、揺れが収まるのを待った。
10:54
震度5強の地震が発生
3日午前10時54分ごろ、石川県能登地方を震源とする地震があった。気象庁によると、同県輪島市で震度5強を観測。震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・5と推定される。津波の心配はないという。
10:10
岸田首相「人命第一で全力を」
政府の非常災害対策本部会議が首相官邸で開かれ、岸田文雄首相は能登半島地震による死者が60人を超えたことを明らかにし、関係閣僚らに対して人命救助に全力を尽くすよう指示した。
会議には首相のほか、松村祥史・防災担当相らが出席。首相は「発災後、40時間以上が経過した。救助を必要とする方々の情報が多く寄せられている」と説明。「時間との勝負であることを十分に念頭に置き、人命第一で救命・救助活動に全力を尽くしてもらいたい」と語った。
また、避難が長期化する可能性に言及。「被災者支援が極めて重要だ。必要な物資の確保、電力、水道等のインフラ復旧などに全力をあげてもらいたい」と述べた。
09:30
石川県内の死者64人に 3万3千人超が避難
石川県は3日午前8時時点で、県内で62人の死亡が確認されたと明らかにした。県の集計では輪島市で29人とされたが、その後、輪島市長がさらに2人の死者が確認され、31人となったことを明らかにした。県内の死者は計64人になる。
県によると、輪島市以外の死者は珠洲市で22人、七尾市で5人、能登町と穴水町で各2人、羽咋市と志賀町で各1人。重軽傷者は304人。避難者数は約3万3400人という。
09:00
珠洲市に災害救助犬が到着 倒壊家屋がある地区で活動へ
奥能登にあたる石川県珠洲市に3日朝、災害救助犬のチームが到着した。
神奈川の救助犬訓練士協会で組織する獣医師を含む9人と7匹のチーム。倒壊家屋がある地区を回り、中に人がいないかを確認し、必要に応じて救助に関わる。
スタッフの一人は「いち早く現場に行き、閉じ込められた人がいれば救出したい」と話した。
これまで静岡県熱海市の土石流災害の現場で活動したことがあるという。チームの中の災害救助犬、7歳の「えんぞう」も元気そうな姿を見せていた。
09:00
輪島市の死者29人に 避難者は1万人余り
石川県輪島市は3日午前6時現在、死者が29人となったと発表した。行方不明者の数は把握できていないという。重傷者は9人。
住宅は全壊や半壊の被害が多数出ているが、把握が遅れているという。避難所は市内87カ所に1万人あまりが避難しているという。
08:30
輪島市に大雨警報 土砂災害の危険高まる
気象庁は3日朝、石川県輪島市に大雨警報(土砂災害)を発表した。能登半島では、4日朝まで土砂災害に警戒するよう呼びかけている。
地震の揺れの影響で地盤が緩んでおり、少しの雨でも土砂災害になる危険性が高まっているという。
08:30
余震多発の珠洲市、避難者の水不足続く
石川県珠洲市では3日朝、住民が自宅の片付けなどをする姿があった。海からの水が押し寄せたとみられる飯田港周辺の女性は「お年寄りばっかりの地区やからこれからが大変」。
余震が多発しており、この日の未明にも震度5強の揺れが襲った。真夜中にも何度も救急車のサイレンが鳴った。
市役所に身を寄せている高齢の女性は、いすに座る時間が長く腰が痛いという。「薬は持ってきたけど、水だけしか当たらんし、食べるもんがないから空腹では薬は飲めづらい」。避難した1日に乾パン、翌2日の夜に混ぜごはんのようなものを食べただけ。「生き地獄のよう」
水が足りず、トイレの排泄(はいせつ)物がたまっている。避難者らに困っていることを聞くと、一様に「水」「電気」と返ってきた。
08:20
JR西、北陸での運行を一部取りやめ
JR西日本は3日朝までに、北陸地域の各線について、新たな一部列車の運行停止の状況を発表した。
高山線の富山―猪谷間は日中は運転をやめ、午後6時半の富山発、午後7時2分の猪谷発から再開する予定。
現時点で氷見線は5日まで、大糸線の南小谷―糸魚川間は7日まで運転を取りやめる。
七尾線も金沢―高松間の一部列車を運休し、高松―和倉温泉間は終日運転を取りやめる。
地震の影響を受けている路線の各駅と山陽新幹線、北陸新幹線(金沢―上越妙高間)を発着したり、通過したりする列車の切符については、乗車日から1年以内は払い戻しや有効期間の変更を手数料なしで行う。
08:00
自衛隊1090人が捜索活動 救助犬も投入
自衛隊は3日午前8時時点で、石川県輪島市、珠洲市を中心に1090人態勢で捜索活動を実施している。救助が必要な被災者は輪島市に70人、珠洲市に60人いるとみられ、救助犬なども投入して人命救助にあたる。
07:15
石川県珠洲市の野々江総合公園に、海上に停泊する自衛隊の護衛艦「あさぎり」からヘリコプターが到着。護衛艦に乗ってきた県外の消防隊員らが公園に降り立った。県によると、3日昼までに複数回のヘリ輸送が計画されている。隊員らは市内の救助・捜索活動に従事するとみられる。
06:00
仙台市水道局は3日、能登半島地震の影響で断水や減水が続く新潟市に、給水車1台と応急給水班、復旧班からなる応援隊6人を派遣した。仙台市は東日本大震災時に新潟市から水道復旧の応援を受け、その後、同市水道局と「災害相互応援に関する覚書」を結んでいた。派遣は5日間程度を予定し、宮城県管工業協同組合の工事用車両9台、組合員11人も同行する。
3日午前6時、太白区の大野田庁舎前で出発式があり、隊長の伊藤本之・東配水課課長が「震災の恩返しになる。復旧の経験と知見を発揮したい」などとあいさつ。新潟市からは2日朝に応援要請があり、同日、先遣隊4人が新潟入りした。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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