36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)に対し、京都地裁は25日、判決を言い渡します。殺人事件として戦後最悪とみられる犠牲者を出した事件について、裁判員らの判断は。そして、関係者の受け止めとは。詳報します。
09:00
傍聴求める大学院生「京アニ作品が大好き」
36人が死亡した京都アニメーション放火事件で、大学院生の20代男性は25日の判決公判を前に、滋賀県から来て傍聴整理券を受け取った。
「もともと京アニ作品が大好き」で、事件に衝撃を受けていたという。傍聴に来たのは初めて。青葉被告には「別の形で京アニに思いを伝えてほしかった」と思う。「どんな判決が出るか注目したい」と話した。
08:40
傍聴希望する人へ整理券配布始まる 京都地裁
36人が死亡した京都アニメーション放火事件で、京都地裁前では25日午前8時40分ごろ、傍聴を希望する人への整理券の交付が始まった。小雪が舞うなか、交付前から約30人が傘をさしたり、フードをかぶったりして並んでいた。
愛知県の大学2年生、本多結羽(ゆうは)さん(20)は、午前7時半ごろから母親と一緒に並んだ。京アニ作品の「Free!」が好きだった。大学で犯罪心理学を学んでいるのも理由だ。「青葉被告の精神状態が判決にどう影響するのか、直接見て知りたかった」と話した。
京都アニ放火殺人事件 裁判の焦点は
36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の判決は25日、京都地裁で言い渡される。検察側の死刑求刑に対し、弁護側は無罪を主張。事件当時、妄想の影響を受けていた青葉被告の刑事責任能力について、裁判員らがどう判断したかが最大の焦点となる。
青葉被告は19年7月、京アニ第1スタジオ(京都市)の1階中央フロアに侵入し、事前に準備したバケツに入れたガソリンを社員に浴びせかけるなどして放火。3階建てのスタジオを全焼させ、京アニ社員ら36人を殺害し、34人を殺害しようとし、うち32人を負傷させたとして起訴された。
事件の動機や経緯について、青葉被告は自身の小説作品のアイデアを「京アニに盗用された」とし、「自分は『闇の人物』に監視されている」「京アニは『闇の人物』と一緒になって自分に嫌がらせをしている」と考えたなどと述べた。
こうした妄想が事件に与えた影響について、検察側は「大きくなく、善悪を区別できる状態だった」とし、責任能力があると強調。「地獄さながらの状況にさらされた被害者の恐怖と絶望感は筆舌に尽くしがたい」として死刑を求刑した。
一方の弁護側は、青葉被告は重度の妄想性障害で「事件まで10年以上にわたり、妄想を前提に物事を考えてきた」と主張し、心神喪失で無罪、または心神耗弱で減刑すべきだと訴えた。
昨年9月に始まった裁判は3段階に分けて進み、①事件の経緯や動機②責任能力を審理後、同11月には中間評議で責任能力に関する結論を出した。その後、③量刑の審理に移り、被害者参加制度を利用した多くの遺族らが意見陳述した。
青葉被告は、遺族らの意見陳述後にあった同12月の被告人質問で、「申し訳ございませんでしたという言葉しか出てきません」と謝罪の言葉を口にした。多くの遺族が極刑を求めた点には「その通りに、償うべきだととらえている部分がある」とも述べた。(光墨祥吾、森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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