新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、東京都の小池百合子知事は「ロックダウンなど強力な措置を取らざるを得なくなる可能性がある」としています。ニュースで耳にする「ロックダウン」。日本の法律の下ではどのような規制が可能で、実際に東京で行われたらどのような影響が出るのでしょうか? 行政学者の佐々木信夫・中央大名誉教授に聞きました。
Q:そもそも「ロックダウン」とは何を指すのでしょうか?
もともとは刑務所内での「囚人の移動制限」を意味する言葉です。行政用語としての定義はなく、東京都の小池百合子知事も明確な定義付けはしていません。
Q:どのような措置が想定されるのでしょうか?
世界でロックダウンの名のもと取られている策としては「強制的な外出禁止」「営業禁止」「都外からの出入り禁止」などがあるようです。ただ、日本では欧米の様に外出禁止命令に反したから「罰金」をとるとか、「逮捕」するとか、そうした強制力は持ちません。
Q:すでに東京都では週末・夜間の外出禁止要請が出ています。ロックダウンされたら何が変わるのでしょうか?
これまでのような知事による自粛要請に法的根拠はありません。ただ、改正新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づいて政府が「緊急事態宣言」を出し、その上で知事が措置を講じるとすると、法的根拠が出てきます。
Q:特措法に基づくと、行政はどのようなことができるようになりますか?
例えば、臨時の医療施設を設置するために地権者の同意がなくても空き地などを使うことができます。また、住民に対する外出禁止や、人が多く集まる施設に対し閉鎖などを要請することができます。要請に従わない場合には、同内容を「指示」することができるようになります。
Q:その「指示」はどれほど強いものなのでしょうか?
「要請」も「指示」も罰則は伴いません。ただ、これまで以上にメッセージ性は強まると思います。その意味で、自粛効果を高める事にはなるでしょう。
Q:どのような状況になると小池知事はロックダウンに踏み切ると思いますか?
都内で毎日100人以上の患者数が続くようになると、医療崩壊を危惧してロックダウンに踏み切る可能性があります。ただ、病院や病床、医師を都内だけでまかなう発想ではなく、他県と広域連携し、危機を乗り切る必要があると思います。
Q:ロックダウンによる経済損失はどれくらいの規模になるのでしょうか?
外出自粛、イベント休止の期間が長期間にわたると大きな影響が出ます。1週間ほどであれば耐えることができても、それ以上だと小・中規模の店舗は倒産するところも出てきます。つなぎ融資をしても客足が戻る保証はありません。
また、仮に東京のロックダウンが1か月実施されると都の消費は5~6割減少し、日本全体の個人消費を5兆円減少させるという試算もあります。
Q:ロックダウンに踏み切る際の、行政側の注意点はどこですか?
いきなりロックダウンによる外出禁止を伝える会見を行うと、スーパーに人がなだれ込み、買い占めが始まるなど、「消費者パニック」が起きかねません。それを未然に防ぐためには小池知事が都民に対してロックダウンの工程表を示すなど丁寧な説明に心がける必要があると思います。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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