政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時は全都道府県を対象に「緊急事態宣言」を出していました。しかし、新規感染者数が減ったことなどから、5月14日、21日の2回に分けて計42府県が対象区域から外れました。残っているのは、北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉の5都道県。「緊急事態宣言」とはどのような場合に出され、宣言が出されると市民生活はどう変わるのでしょうか?
Q:政府による「緊急事態宣言」とは?
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく宣言で、(1)国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れがある(2)全国的かつ急速なまん延により国民生活・国民経済に甚大な影響を及ぼす、あるいはその恐れがある――の2要素が認められる必要があります。
Q:これまでも「緊急事態宣言」は出されていたよね?
はい。政府は4月7日に「緊急事態宣言」を発出しました。発令の際には、(1)期間(2)区域(3)緊急事態の概要――を示す必要がありますが、7日の時点では期間は5月6日まで、対象区域は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県とされました。
その後、全国的に感染者が増加し、一部知事らが緊急事態宣言の対象地域に含むよう求めたことなどから政府は4月16日、対象区域を全都道府県に広げました。期限はもともと宣言下だった7都府県と同じ5月6日までとされました。
Q:宣言の期間が延長されたよね?
期限をめぐっては安倍晋三首相が5月4日に記者会見で「まだ感染者の減少が十分なレベルとはいえない」として、全国を対象に宣言の期限を5月31日まで延長しました。一方で、14日には新規感染者が大幅に減少したことなどを考慮し、39県を緊急事態下から解除。さらに21日には大阪府、京都府、兵庫県を対象から外しました。
その結果、北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉の5都道県で緊急事態宣言が継続しています。
Q:対象になった区域での生活はどうなるの?
対象となった都道府県の知事は、特措法に基づき、住民に対して外出自粛を要請したり、学校、映画館、劇場、音楽ホール、人が集まる施設の使用を制限したり、仮設病院を設置するために土地を収用したりできようになります。
一方、国民の自由(私権)を制限することにつながるため、宣言を出すことについては慎重であるべきとの声もあります。
Q:都道府県が独自に出す宣言と、政府が出す緊急事態宣言の違いは?
法的根拠を持つか持たないかが最大の違いです。都道府県で独自宣言を初めて発表したのは2月28日の北海道ですが、これには法的根拠がなく、あくまで知事からの「お願い」の範囲にとどまります。
これに対し、政府が発出する「緊急事態宣言」は特措法に裏付けされたものなので、都道府県が独自に出すものとは全く異なります。ただ、特措法に基づいて各知事が施設やイベント主催者に休業自粛を要請・指示しても強制力はなく、営業を継続しても罰則はありません。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース