あいちトリエンナーレの補助金不交付決定、採択を審査した外部有識者に意見聴取せず(ハフポスト日本版)

「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金について、文化庁がいったん採択を決定しながら全額交付しないとした問題で、補助金の採択時に審査に関わった外部有識者に対して、文化庁が不交付決定前に意見聴取をしていなかったことがわかった。

外部審査委員をつとめた鳥取大学の野田邦弘教授(文化政策)がハフポストの取材に対して、文化庁から「事務的な審査であるため、委員の皆様への意見聴取は行わず、文化庁内部で決定した」との説明を受けたことを明らかにした。野田教授は10月2日午後、文化庁に対して審査委員の辞任を申し出たという。審査委員は野田教授のほか複数人おり、非公表となっている。

野田教授は「『事務的な審査』で、採択を決定したものを全額不交付とすることはあり得ない。文化庁から不交付の理由の説明を受けたが、納得はしていない」と話した。

文化庁が不交付を決めたあいちトリエンナーレ2019への補助金は、文化資源活用推進事業(日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業)で、約7830万円だった。

■専門家有志、署名を呼びかけ

文化庁の公開資料などによると、補助金の交付にあたっては、文化庁が補助事業を公募(下記図の1)し、自治体が実施計画書を提出した後(同1)、審査が行われる。この過程で、文化庁から委嘱された外部有識者らの審査委員が、事業の趣旨や目的に沿った計画となっているかなどを審査する(同3)。

こうした動きに対し、文化芸術分野の専門家有志が10月1日、不交付とした根拠の明示や、外部有識者による検証などを求めて、署名集めをスタートした。

公的な助成事業の審査委員の経験者や研究者らに共同署名を呼びかけているほか、こうした経験者らには該当しないものの趣旨に賛同する人の署名を募っている。10月2日午前11時時点で計707人が署名・賛同している。

専門家有志が公表した「声明」によると、外部審査委員に対して、文化庁が不交付決定前に意見聴取しなかったという対応について「異例中の異例で、不適切」と指摘している。

ハフポストは文化庁に対し、審査委員に意見聴取をしなかったかどうかの事実確認と見解を求めているが、2日午後8時現在、回答は寄せられていない。

■補助金の不交付決定までの流れ(文化庁の資料や取材から)

2019年3月8日 文化庁、愛知県からの「文化資源活用推進事業」の応募書類を受理

4月25日付 有識者らによる審査会を経て、文化庁が愛知県に採択通知を発出

5月30日 文化庁、愛知県からの補助金交付申請書を受理

8月1日 あいちトリエンナーレ2019が開幕

8月3日 「表現の不自由展・その後」中止を発表

9月25日 芸術祭実行委員会の会長を務める愛知県の大村秀章知事が「条件を整えた上で再開を目指したいと考えている」と表明

9月26日 文化庁、補助金の不交付を発表

Kaori Sawaki

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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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