「(中止となっていた)『表現の不自由展・その後』が再開すると同時に、不自由展の中止を受けて展示の中断や変更を行っていた作家たちが、明日から全員戻ってきてくれることが何よりも喜ばしい。本来の形のトリエンナーレが見せられることを喜ばしく思っている」と話した。
津田氏の会見の約2時間前には、愛知県の大村秀章知事が緊急記者会見を開き、開始から3日後に中止となっていた「表現の不自由展・その後」を含む全作品の展示を再開することを発表していた。
トリエンナーレの会期は14日までで残り1週間。津田氏は「不自由展が再開できたからといってハッピーエンドではない。今まで以上に慎重な運営が求められる。暴力的な妨害に負けず、安全な状態で楽しんでもらえるようにしたいと思っています」と話した。
再開に向けて、トリエンナーレの実行委員会と不自由展の実行委による協議が続いてきた。今回再開にたどりついたが、津田氏は緊張感を依然持ち続けている現在の心境をこう話した。
「再開できると確信できたことは、不自由展の中止以来、一度もない。まだまだ状況が緊張している部分もある。明日から再開するが、検証しながら少しずつ開けていく、というやり方しか取れない。残り1週間、最大限の緊張感をもってやっていきたい」と話した。
そして津田氏は、記者からの質問が終わると、自らこう切り出した。
「こういう形で再開が遅れてしまったこと、『不自由展』だけでなく、多くの作品が正常な状態でみられなかったことは忸怩たる思いがある。だからこそ、再開して終わったよという形ではなく、きちんと建設的な方向で終わらせる必要があると思っている」と述べた。
その上で、津田氏は3つの「レガシー(遺産)」に言及した。
1点目が、あいトリ参加作家を中心に作成している、アーティストやキュレーターらの権利や責務を明記した「あいちプロトコル」だ。津田氏は「プロトコルが優れたものとなり、多くの自治体で採用されれば文化行政へのレガシーになる」と期待を込めた。
2点目として、今回、運営側のガバナンスの問題が指摘されたことに触れ、「ガバナンスを強化し、政治からの文化事業への介入を防ぐ仕組みとして、検証委員会から『アーツカウンシル』の仕組みを導入するという提言が出ている。内容を検閲する機関ではなく、政治から一定の独立をしたイギリス型のアーツカウンシルがうまく機能することが、文化事業へのレガシーになりえると思う」と述べた。
3点目として、抗議が集中した際の具体的な対策をあげた。「愛知県には大きなノウハウがたまっている。行政がどのように対処すれば良いか、どこまで対処が可能か。マニュアル化できる部分もあると思う。全国で共有できればこれもレガシーになる」。
最後に津田氏は「3つのレガシーを残し、すべての作品を展示できた状態で終わることで、成功ということになると思う。それを目指して最後までがんばりたい」と話した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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