“あおり殴打”巡りデマ拡散…「自分が暴行の撮影者と同じ事してる自覚を」菊地弁護士の言葉の意味(関西テレビ)

傷害の疑いで逮捕された宮崎文夫容疑者(43)。大阪市東住吉区の路上で逮捕された時には…。

宮崎容疑者:
「逃げません!自分から出頭させてください!本当に。手つないで!手つないで、喜本さん!」

 警官を相手におよそ15分に渡って押し問答を続けました。

 8月10日、あおり運転をして無理やり車を停止させ、男性の顔を殴りつけた宮崎容疑者。交際相手の喜本奈津子容疑者(51)も自宅に宮崎容疑者を匿った疑いで逮捕されています。

 一方で、こんなところにも被害が…。

すまいるコーポレーション矢野社長:
「本当にこんなとこ借りなければよかった」

 宮崎容疑者が所有するマンションの1階にテナントとして入居する不動産会社では、ネット上での書き込みなど誹謗中傷に悩まされています。

矢野社長:
「勝手に入ってきて写真撮られたり、外の看板と中も外しました。宮崎容疑者とは全く関係ないので、ネットでの勝手な書き込みとか本当にやめていただきたい」

 重大な事故にもつながりかねない“あおり運転”に街では…。

男性:
「危険ですよね、高速道路でとめて。後続の車が来るじゃないですか。あれは絶対新しい法律を作ったほうがいいと思います」

別の男性:
「今は(罪が)軽いからあんなことするやつがおる。あおり運転をされたことはある。ガーって寄ってくるやつおるから。『避けろ』と言わんばかりに。そういう時は先に行ってもらったらいい」

女性:
「もちろん免許取り消しで、やっぱり重い反省を本人に求めないとだめですね」

 果たして、2人の罪の重さはどの程度になるのか、またインターネット上でのウソの書き込みは罪に問えるのか…。菊地幸夫弁護士に伺います。

菊地弁護士:
「どれくらいの刑になるかというのは、いくつ罪が積み重なるか、それにかかっているんですね。まず、宮崎容疑者は最低でも懲役1年程度かと思われます。執行猶予は前科などの程度によってでしょうか。

 今回の逮捕容疑は傷害です。傷害罪というのは非常に重く、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。懲役と罰金の境界については、時々言われるのは全治1か月未満のケガだと罰金となる可能性があるというものです。

 今回の被害者の方のケガの程度があまり重くないとすると、本来は罰金で済むくらいの問題なのかもしれません。ですから、傷害自体で今回あまり重い罪にはならないとすると、道路交通法違反、これはいっぱいあります。急ブレーキの禁止やスピード違反もあるかもしれません、横の車が危ないと思うような車線変更の禁止など、これらがいくつ積み重なるか。

 あと暴行ですね。例えば『殴るぞ!』と言って拳を振りかざすのもこれに当たります。石を投げて当たらなくても暴行です。その石を車に置き換えて考えてみると、車が相手に当たらなくても暴行になり得るんですね。

 また、暴行の方が交通違反よりも罪が重いことが多いんです。だから最近これを捜査当局が使い始めたんです。こういうものを色々つけていけば、あるいは懲役1年を超えるのかもしれませんが、何件立件できるかにかかってきます。

 ただ、実刑まで行くか執行猶予がつくかといえば、これは執行猶予に終わる可能性が高いと思います。前科が直近で重いものがあれば実刑もあり得るとは思いますが、あまりないと執行猶予ということに」

Q.タクシー運転手の監禁容疑は起訴猶予でしたね

菊地弁護士:
「はい。刑罰まではいってないんですね。だから執行猶予だということになると、あと2~3か月でまた社会に戻る。おまけにその少し前に保釈で社会に戻る可能性があります」

Q.確保される時に「自分で出頭する」と主張していましたが、あれにどんな意味があるんでしょう?

菊地弁護士:
「こっちの警察署は嫌だ、あっちの警察署がいいというのはわがままですからね。ああいうことを言いながら出頭するというのは、あまり彼にとってプラスのポイントにはなりません。むしろ、ああやって言わば駄々をこねるということはマイナスポイントになっています」

Q.容疑者が浮上する前に警察署に行くと自首となりますが…

菊地弁護士:
「それは減刑の対象になり得ると思いますが、今回は誰かというのは分かっていて、全国指名手配ですからね」

Q.一方の喜本容疑者についてはいかがでしょう?

菊地弁護士:
「今回、逮捕容疑は犯人蔵匿・隠避の疑いです。傷害ほう助の疑いでも捜査中とのことです。彼女については懲役6カ月で執行猶予3年程度ではないでしょうか。

 ひどい殴り方をされていた現場にいて、それにどう関与したかということなんですが、一番重いのは共同正犯、傷害を一緒になってやったというものです。例えば車に手をかけて『おい出てこーい!』みたいなことです。

 そこまでいかない、例えば動画を撮影しながら『もっとやっちゃえ』くらいだったら傷害ほう助、何も言わないでただ撮影をしていたら、さらに1つ下の傷害現場助勢罪と、何段階か考えられますね。今は中間くらいを捜査当局は視野に入れているということになります。執行猶予は間違いないと思います」

Q.この事件による風評被害も様々出ていて、これを発信・拡散させた人物の責任についても伺いたいと思います。宮崎容疑者がオーナーのマンションに入居している不動産会社に対して、宮崎容疑者と関係ないのに誹謗中傷が後を絶たないそうです。また、喜本容疑者に間違われた女性がネット上などで批判を受け、拡散されるという事態も起きています。

菊地弁護士:
「名誉棄損罪や、賠償責任を負うこともあり得ます。事実の有無にかかわらず、名誉棄損というのは責任を問われる可能性があります。犯罪として、また慰謝料という民事の問題としてですね。

 やっていることは、喜本容疑者が暴力をふるう宮崎容疑者の横で携帯電話を使って撮影していたのと同じです。流されたデマを拡散させる人は、それに協力している、犯罪を促進しているということですから、自分は喜本容疑者と同じ行為をしているんだということを自覚していただきたいと思います」

Q.そういうことをしている人は、おそらく正義のつもりで悪い人をとっちめてやろうという目的でやっているのでしょうが…

菊地弁護士:
「大間違いです。それでもダメです」

(関西テレビ8月21日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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