茨城県の常磐道であおり運転をしたうえ男性を殴ったとして、大阪市の会社役員・宮崎文雄容疑者(43)が逮捕された事件。あおり運転の映像が出回ると、始まったのは犯人探しだった。注目されたのは、宮崎容疑者の隣でガラケーを手にしていた喜本奈津子容疑者(51)の存在だ。
ネットでは、宮崎容疑者がフォローしていたSNSアカウントの中から、1人の女性に疑いをかけ始める。喜本容疑者が身につけていた帽子やサングラスなどが、女性がSNSで公開していたものと似ていたことから「ガラケー女はAという女」と断定し始めたのだ。すると、瞬く間にAさんの名前が広まり、誤った情報の拡散が加速していった。Aさんが経営する会社には電話が殺到し、業務に支障が出るほどだったという。
Aさんが受けた被害について、代理人を務める小沢一仁弁護士は「起きて気付いた段階で、見知らぬ番号からガンガン電話がかかっているような状態だと。『何だこれは』と思っていたところに友達から『まとめサイトとかで犯人だって名前が上がっている。晒されている』ということを聞いて、事態を理解したという状況」と説明する。
Aさんは宮崎容疑者と一切面識がなかったというが、本名・顔写真などが広まっていった。小沢弁護士はあるサイトの存在をあげ、「『こいつが犯人だと思います』『ネット上ではこういう風に推測されています』とネット上の言論に下駄を預けて、自分はそれをまとめているだけだから責任はないというスタンスを保ちながら、最後は疑問形で終わるようなサイトが散見される。あとで訂正したところで、訂正前のものを一度流布させた以上は責任を免れるものではない」と指摘する。
まとめサイトなどの情報収集などによって明らかにされたAさんのSNSの元には、「くそぶすが」「犯罪者、自分の名前検索してみろ」「自首をオススメします」といった誹謗中傷が書き込まれ、Twitterなど自分の関知していないところでも犯人扱いを受けていた。
無関係の人に向けられた罵詈雑言の数々。Aさんは法的措置を検討しているが、今回その範囲は“リツイート”にまで及ぶ可能性があると小沢弁護士は指摘する。「もともと書いた人に関しては、人を巻き込んで先導するような内容。それが予想できるものなので、書いた人については全部(名誉毀損罪が)成立するかなと。リツイートしている人に関しては、内容によると思うが、他人のものを引用しているとはいえ自分で発信するわけなので、それも1つの表現行為と捉えられれば、少なくとも名誉毀損に関しては成立すると思う」。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース