松浦祥子
同性同士の結婚を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、京都府や香川県などの同性カップル3組が国を訴えた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が23日、大阪高裁(本多久美子裁判長)であった。合憲とした一審判決に控訴した原告側は、「婚姻の自由」を保障した憲法24条には同性婚も含まれ、認められない現状は「法の下の平等」を定めた憲法14条にも違反すると改めて主張。国側は控訴の棄却を求めた。
坂田麻智さん(43)、テレサさん(39)の原告カップルは意見陳述で、テレサさんが精子提供を経て娘を出産したが、出生届の親の欄に坂田さんの名前を書かせてもらえなかったと振り返り「国が、あなたたちは家族ではないと突きつけてくる。今度こそ、差別だという姿勢を明確に判決で示してほしい」と訴えた。
一審判決の後、性的少数者の友人がいるという高校生からインタビューを受ける機会があり、「将来、友だちが悲しむ顔を見たくない」と訴えられたという。坂田さんは「婚姻の平等の実現は、同性カップル当事者だけの問題ではない。自分とつながる誰かが差別を受け続けている、そんな社会であってほしくない」と述べた。
原告側代理人の三輪晃義弁護士も陳述し、一審判決が、同性カップルの法的保護が現行の法律婚以外の制度でも可能だとしたことについて「別制度しか認めないのは差別の強化だ。高裁で、同性カップルの排除が許されるのか検討してもらう必要がある」と述べた。
同種訴訟は全国5地裁で起こされ、札幌地裁は「違憲」、東京地裁は、同性カップルが家族になる制度が存在しないのは「違憲状態」とし、判断が分かれた。国への賠償請求は3件とも棄却され、原告側がいずれも控訴している。(松浦祥子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル