福岡で生まれ育った女性が、家族との死別などで喪失感に苦しむ人に寄り添うための「カフェ」を、東京で開いている。女性は、いじめが原因で中学生の長男を亡くした経験がある。「抱え続ける葛藤を、誰かに静かに聞いてほしい」。そんな思いに改めて気づいたことがきっかけだった。
9月上旬、東京・新橋の喫茶店で森美加さん(49)が、60代の男性と向き合っていた。森さんらが運営する「暮らしのグリーフサポートみなと」の活動だ。
グリーフとは英語で「深い悲しみ」の意。2カ月前に妻を亡くしたばかりの男性が、後追い自殺も考えたと言うと、森さんは静かに返した。「私も海のどん底に放置された感じでした」
森さんが福岡県筑前町で暮らしていた2006年10月、中学2年の長男啓祐(けいすけ)さん(当時13)がいじめを苦に自ら命を絶った。日常的に暴言を浴び、亡くなった日は学校のトイレで羽交い締めにされ無理やりズボンを脱がされそうになった。
啓祐さんは名馬ディープインパ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル