広島市の島田栄子さん(92)は6日、78年前のこの日に命を落とした父の墓参りに向かった。「長生きさせてもらっています」。花を手向け、そっと手を合わせ目を閉じた。
墓前に報告することがあった。被爆者や遺族が高齢化するなか、父の死、そして自身の被爆体験の証言活動を、90歳を過ぎて始めようとしている。
あの日、14歳だった島田さんは市内の高等女学校の3年生で、爆心地から約4キロの軍需工場に動員されていた。午前8時15分。白い閃光(せんこう)が走った。大きな音がし、地震のような揺れが起きた。外に出ると、巨大な雲が立ち上るのが見えた。地上には赤い炎がなめるように広がっていった。自宅に戻ろうとしたが、火の手で近づけず、途中でネギ畑に座りこんだ。
炎から40人ほどが逃げてき…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル