小学校の飼育小屋からニワトリやウサギなどが消えつつある――。大手前大学(兵庫)の中島由佳准教授(発達心理学)の調査で、そんな実態がみえてきた。
中島准教授は2017~18年、全国の小学校2062校に電話で飼育の有無や動物種などを聞いた。その上で、19年7月に大学1~4年だった学生に出身小学校計671校での動物飼育に関する調査を行い、比較した。回答した大学生が小学生だったのは03~12年だ。
「飼育はしていない」と答えた割合は、03~12年調査の6・6%に対し、17~18年調査は14・2%で増加傾向。飼育動物については、「鳥・哺乳類等を飼育」が03~12年には86・4%あったが、17~18年には、49・1%に減っていた。一方、「魚・両生類、昆虫のみを飼育」は、03~12年は13・6%だったのが、17~18年は50・9%。
中島准教授は、04年以降に流行した鳥インフルエンザの影響があったとみる。「感染を恐れ、飼育をやめたところが多いのでは?」
鳥インフル以外にも要因がありそうだ。17~18年、動物を飼育する学校への調査で難しさを尋ねたところ、回答した583校のうち「長期休業中の世話」が最も多く、28・8%に達した。長期休業中の世話は、57%の小学校で教職員が担っていた。
中島准教授は「動物との接触で生じるリスクを恐れ、世話する主体が先生に移り、飼育に労力がかからない魚などが増えたと考えられる」と言う。「飼育を通じ、小さな命を慈しむ『養護性』が育つ意義は大きい。鳥や哺乳類の方が愛着を感じやすく、獣医師から動物を借りるなど、持続可能な飼育の形を考えるべきだ」と話す。(山下知子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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