阪神・淡路大震災から29年を迎えた17日、福岡市中央区の警固公園では、震災を忘れず、防災意識の向上につなげてほしいと、市民団体が追悼の集いを開いた。訪れた市民からは、元日に起きた能登半島地震に心を痛める声もあった。
集いは熊本地震などでボランティア活動をしてきた市民団体「夢サークル」が、阪神大震災翌年の1996年から毎年続けている。代表の同市東区、吉水恵介さん(67)は震災の1カ月後、兵庫県西宮市で約6千食の炊き出しに参加した経験を持つ。
献花台に手を合わせた同市博多区の橋本淳一さん(67)は会社員だった当時、兵庫県尼崎市で被災。同僚らのために奈良県などから水を運んで配ったり、歩いて往復6時間かけて神戸市中心部の三宮に入り、店舗の復旧作業に携わったりした。「忘れないです、地震が起きたときのことは」
宮若市の富松洋さん(70)は約5年前、石川県輪島市を訪れたことがある。「あの街が焼けてしまい、さっきあった命が亡くなるというのを感じた。言葉にならない」と嘆いた。阪神大震災とともに、「いつ自分が災害にあうかわからない。自分の命の問題として考えたい」と語った。
吉水さんは、「みなさん直後は同情するが、防災グッズを用意したり、地域の訓練に参加したりする人はほとんどいない」と警鐘を鳴らす。「あすは我が身。自分の活動で、一人でも助かる命があれば」(大下美倫)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル